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ISG国府台×NO EXCUSE 「第3回 車いすバスケットボールフェスタ」”車いすバスケの祭典”は真剣勝負の舞台に

2024年12月、千葉県の市川市スポーツセンターで「第3回 車いすバスケットボールフェスタ」が開催された。

3年目を迎えた本イベントは約700人が来場し、体験から観戦まで中身の濃い1日となった。

(取材協力:市川スポーツガーデン国府台、NO EXCUSE 文:白石怜平)

ISG国府台とNO EXCUSEによって実現

車いすバスケットボールフェスタは「市川スポーツガーデン国府台(以下、ISG国府台)」が主催している。

ISG国府台は同市で活動している総合型スポーツクラブで、2006年4月に発足してから節目の20年目を迎える。

24年12月現在で948名の会員が在籍。総合型スポーツクラブの名の通り22のプログラムを展開し、親子で2歳から参加できるキッズターザンから小学3年生〜中学3年生を対象にしたバスケットボール教室、大人向けの筋トレやストレッチなど参加している年代はさまざま。

会員やスタッフなど立場の垣根を超えて市民によるコミュニティが形成されている。

市川市でスポーツを通じたコミュニティがつくられている

本フェスタはISG国府台と車いすバスケットボールチーム「NO EXCUSE」が互いに協力して実現したもの。

NO EXCUSEは東京都や千葉県に活動拠点を置き、都の選手権大会や天皇杯など数々の大会で好成績を収めている。

キャプテンの香西宏昭選手は08年北京から21年の東京までの4大会連続でパラリンピックに出場しているなど日本を代表するプレーヤーである。

日本の車いすバスケを牽引する香西宏昭選手

ISG国府台の種目の一つにはスポーツ用車いすのプログラムがあり、NO EXCUSEの選手が度々教えに来るなど、10年近い交流がある。

車いすバスケが同クラブの理念である”誰でも一緒に楽しむ仲間づくり”を体現する競技のひとつであること。

またNO EXCUSEの「地域に障がいのある人たちが体を動かすきっかけとなる場をつくりたい」という考えが重なり合い、毎月2回のプログラムそしてフェスタへと発展を遂げていった。

初年度は車いすバスケの体験会とともに、NO EXCUSEが県内のチーム「千葉ホークス」と交流試合を実施。

参加した市民が車いすに乗り楽しさと難しさを味わった後に、選手の迫力あるプレーに魅了された。

昨年は、『選手と触れ合って一緒にチャレンジ』をテーマにし、体験へと絞っていった。名の通り”お祭り”をイメージし、年齢や人数といった制限を設けずに子どもから大人まで市民みんなが気軽に来て楽しめる場になった。

昨年はNO EXCUSEの選手たちと多くの市民が交流する場になった

午前の体験会に加え、午後はリーグ戦での真剣勝負も

3回目を迎えたフェスタは過去2回以上の盛り上がりを見せた。来場者そして運営スタッフなどを含めると総勢1000人を超え、会場は熱気に包まれた。

午前中は昨年同様に車いすを使ったゲームコーナーを設け、子どもから大人までが体験する機会に。

午前中はコートで競技用の車いすを体験した(提供:ISG国府台)

そして、午後は2年ぶりにNO EXCUSEの試合が行われた。第1回の際はエキシビジョンマッチであったが、今回は真剣勝負。

というのも、この試合は「WBスーパーリーグ」の公式戦として組まれたためである。

同リーグは、今季発足した車いすバスケの新リーグで、関東の5チーム(NO EXCUSE・神奈川VANGUARDS・COOLS・埼玉ライオンズ・千葉ホークス)が各チームと1試合ずつ行い、優勝を決める。

午後はWBスーパーリーグの公式戦が開催された

特にこの日は3戦全勝のNO EXCUSEと2戦全勝の神奈川VANGUARDSとの”首位攻防戦”であり、NO EXCUSEはこの試合に勝利すれば初代チャンピオンを決める大事な一戦でもあった。

会場は応援に駆けつけたファンも加わり、スタンドがNO EXCUSEのチームカラーであるオレンジに染まっていく。

その光景を見たNO EXCUSE事務局の金子恵美子さんは”感動しました”と語った。

「最終的にリーグ戦の観戦者数は443名だったのですが、うち市川市民の方が193名。本当に多くの市民の皆様にお越しいただけたことが何より嬉しかったんです。

と言いますのも、チームメンバーの拠点で最も多いのが市川市なので、まさに”ホーム”。

多くの方々がキッチンカーグルメを楽しみながら試合観戦をしてくださる様子は、ごく普通にスポーツ観戦を楽しんでいる日曜日の午後のしあわせな光景でした」

ホーム市川で優勝を懸けた真剣勝負となった

試合は13時半に開始。香西らが立て続けにシュートを決めるなど、NO EXCUSEが最大10点をリードし幸先良い展開に。

しかし第2クォーターに神奈川VANGUARDSに逆転を許すと、後半もリードを広げられてしまい、試合は49-67と勝利には届かなかった。

神奈川VANGUARDSが得点を重ね、勝利を収めた

試合後にはNO EXCUSEの及川晋平ヘッドコーチ(東京パラリンピック男子日本代表監督)が挨拶。

「素晴らしい応援の中、プレーができたことが何より嬉しいです。悔しい結果にはなりましたが、選手たちも力を出し切れたと思います。

2月の天皇杯優勝という目標を持ち、NO EXCUSEというチームは進化し続けています。

特に今年は応援してくださっているファンのみなさんと一緒に日本一の喜びを味わいたいですので、天皇杯もみなさんの応援を背に頑張っていきます」

と、1月31日〜2月2日に行われる天皇杯に照準を合わせた。

及川HCが最後に挨拶した

“地元のチーム”として多くのファンに

3回目を終え、ISG国府台の小幡晶子クラブマネージャーはこのように振り返った。

「今回、スーパーリーグと組ませてもらったことで、市川市民の方からの『とても面白かった』といったご意見を多くいただきました。

競技用車いすに乗って操作の難しさを感じ、スーパーリーグでの迫力ある試合を観ることでそのすごさや素晴らしさを感じていただけたと思います。

いろいろな形でやり続けていくことで、市川市民への車いすバスケの周知と、ファンになる方が一人でも多くなればと願っています」

またNO EXCUSEの金子さんも、試合会場を見て受けた感動に加えて今後への想いを述べた。

「今後、”地元のチーム”として私たちを認知していただき、いろいろな試合に応援に来ていただけるようになれたらと思っております。

今季は、障害がある子どもたちが部活などで仲間とスポーツで切磋琢磨する機会がほとんどないという課題感から始めた挑戦に加え、法人化も果たしました。それでもまだまだ入口に立ったばかり。

地域にも愛され、そして別の地域でのモデル事例となりうる存在になっていけるよう、今後も挑戦を続けていきたいです」

市川市民が楽しさと感動であふれた日は、来年以降も続いていく。

(おわり)

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