学校それぞれに「目的意識」を持って参加しているLiga Agresiva大阪

広尾晃のBaseball Diversity

秋が来て、またLiga Agresivaの季節がやってきた。2015年に大阪府で始まって今年で11年目。今年は37都道府県、179校が参加している。

今年で11年目のLiga大阪

Liga Agresivaでは、投手は球数制限がある。また、原則として選手は全員試合に出場する。

また「Liga Agresiva」は、単に野球をするだけでなく、スポーツマンシップの学びも必須となっている。

各都道府県のリーグ戦では、選手の経験値を高めるために、様々な独自ルールを設定している。

今年のLiga大阪には、大阪府立今宮高校、大阪府立みどり清峰高校、大阪府立布施高校、大阪府立花園高校、早稲田大阪高校(昨年まで早稲田摂陵高校)、桃山学院高校、関西大倉高校、大阪府立門真なみはや高校、大阪府立汎愛高校、奈良市立一条高校、大阪府立寝屋川高校、大阪学院高校、羽衣学園高校の13校が参加。関西大倉高校は2チームを組んでいるので、14チーム。

かつては一部二部に分けた時期もあったが、今季は1リーグになっている。またLiga兵庫との交流戦も組まれている。

試合は7イニング制になっている。

奈良市立一条高校での試合

ユニークなルールも

またLigaでは、選手の経験値を高めるために、各リーグごとに状況設定をしている。

今年のLiga大阪は

 ・3、5回は1死一三塁から

 ・7回は無死二塁から

試合を行う。またバントは1試合2回までと決められている。

バットは高校野球の規定のバットか木製バットを使用する。

10月12日、奈良市の一条高校グラウンドでは、一条、早稲田大阪、布施の3チームが集まり、各チームが2試合するリーグ戦が行われていた。

一条高校は奈良県だが、県内でLiga Agresivaが行われていないため、大阪のリーグ戦に参加している。各校の指導者に話を聞いた。

9人の選手に経験を積ませるために

一条高校の中貴文監督

一条高校の中貴文監督は

「今年で参加して3年目ですが、リーグ戦に参加したのは昨年からです。今年の新チームは9人ぎりぎりです。

この人数だと9イニングの練習試合を2試合するのはかなりきついんですが、Ligaは 7イニングで、しかも状況設定があるので、試合経験を積ませる上では助かっています。

選手の経験値を高めるためには、試合数をこなして様々な状況を経験するしかありませんから。

今年は、投手ができる選手は3人います。昨年は、試合で投げきれる投手が1人しかいなかったので、試合では何点取られても返していくしかないという形でしたが、今年は投手を3枚用意できるので、投手には3~4点で抑えてもらって、なんとか5点取られるチームにしていこうという目標を設定しています」

金属バットを使わずに木製バットを使っているのは?

「うちの選手の体力では、規定の900gの金属バットは重いんです。木であれば重さの規定がありません。今使っているのは 860gと 880gですが、その重さでなんとか振れるということになれば、春夏の大会でも使えるのではないかと。 バットを重く感じていては、打席で投手と勝負できないですから。

奈良でリーグ戦ができればいいのですが、まだ難しそうです。大阪のいろんな学校と試合させてもらえるのは、貴重な機会ですね」

木製バットでスイング

今年は勝利を求めたい

早稲田大阪の澤井義大顧問

「うちは新チームの一二年生だけで86人います。ここに来ているのは秋の大会のメンバーに入れなかった二年生が中心です。一部秋の大会に出た選手もいますが。選手に試合経験を積ませるという意味で、我々にとってはすごく、意義のある大会ですね。

今日で言うと、うちは三か所で試合をしています。佐藤清監督が和歌山に遠征しているのと、一年生が主体となって京都の方に行っています。こういう機会を与えていただくのはありがたいですね」

早稲田大阪の佐藤清監督は、現役時代は天理高校、早稲田大学、日本生命で強打者として活躍。引退後は早稲田大学、城西大学などで監督を務めた名将。2021年から早稲田大阪(昨年まで早稲田摂陵高校)の監督を務めている。

Liga Agresivaには全員出場や、球数制限、特別なルールがありますが?

「Ligaに限らず、練習試合でも必ず機会は全員に与えるようにしています。佐藤監督の方針です。全員に2打席、3打席は立たせるというイメージで試合をしています」

具体的に今年の目標は?

「今年は1位になりたいなと思っています。勝利を求めたいですね。佐藤監督も言っているのですが、いい試合ができることは、勝っても負けてもプラスになることが多いのですが、そのためには勝ちを目指すということが大事ですね。今年はそういう姿勢で臨みたいと思います」

早稲田大阪と布施の対戦

ロースコアで勝ち抜くチームに

布施高校の山下健治監督

布施高校の山下健治監督は

「Liga Agresivaに参加していることを発信してくださったおかげもあると思うんですが、今年は1年生が増えたんですね。17人います。2年生が11人で28人。

1人都合で来ていませんが、今日は2試合ありますから、全員出そうと思っています。

今年の選手権大阪府大会では、大体大浪商に1対2で負けました。惜しかったですね。十分戦えるという手ごたえがありました。

新チームは、そのメンバーがごそっと入れ替わったので、一からチーム作りをしています。

1年生に元気のいい選手がいます。ショートのリードオフマンが全チームからずっと出ているので、彼を中心に守備をしっかり固めてロースコアで勝ち抜くチームにしたいですね」

今季のLigaの目標は?

「普通の練習試合と違って、結果(1球速報)がネットで配信されているので、プレッシャーを感じながらやっています。そういう試合で経験が積めるというのはいいですね。

それにタイブレークのような状況設定もうまくできているなと思います。

そのうえで、選手たちの出場機会を確保しつつやっています。

選手一人一人が経験値積みながらなんとか春夏に向けて成長してきたいと思っています。

作戦面では、バントをしない中でどうランナーを進めるのか。今日の1試合目では、盗塁はありましたけど、バントはしていません。だからあまりサインを出す機会がありません。

その分選手たちが考えてやってくれています。毎年のことですが」

投手は何人いますか?

「専任と言うか、投手だけやっている選手が4人いて、野手の中でも投げることができる選手があと3~4人います。Ligaでは投手専任の選手を優先して使っています。

今週はテスト明けで試合は今日だけですが、土曜日、日曜日の試合となると、たくさん投手も使えます。練習試合と異なり、緊張感の中でやれるんで、またいろんな形が見えるかなと。 選手の成長に期待しています」

貴重な試合機会になっている
ブルペンで仲良く投球練習

各校によって状況は大きく違うが、指導者は、それぞれテーマ、目的をもってLiga Agresivaに参加している。目的は異なるが、リーグ戦と言う緊張感のある試合を行うなかで、選手の成長に期待する気持ちは変わらない。

全国各地で、行われているLiga Agresivaでも、指導者が様々な目的をもってリーグ戦に参加している。

選手たちは充実した秋を迎えている。

手作業のカウント表示板

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