日鉄ソリューションズ株式会社 スポンサーシップに込めた想い「地域や社員を応援したい」
スポーツ界において、ファン・サポーターによる応援は選手の力となり、実力以上のパフォーマンスを引き出す原動力になっている。
スポーツの応援は、グラウンドの外でも行われている。チーム運営において、資金面で援助してくれるスポンサーの存在も大きな力である。
今回はチームを支えるスポンサー企業にフォーカスしてお届けする。ご協力いただいたのは「日鉄ソリューションズ株式会社」
日本最大の鉄鋼メーカーである日本製鉄グループの情報通信業で、現在は野球、サッカーなど7チームをスポンサーとして支援している。
会社がどのような想いでスポーツに関わっているのか、日鉄ソリューションズ 金子竜太広報・IR室長と岡林克(まさる)人事企画部部長に登場いただいた。
日本製鉄グループの大手システムインテグレータ
日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)は、法人向け情報システムの企画から構築、運用までを担うシステムインテグレータである。
上述の通り日本製鉄のグループ企業で、01年に「新日鉄ソリューションズ」として発足。その後、親会社の統合や社名変更を経て、現在の社名となった。
今年オープンした虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーに本社を構え、連結従業員数6,639名(2020年3月31日時点)を抱える大企業である。
「弊社は、企業理念は『創造・信頼・成長』を3本の柱に、お客様とともに新しいビジネスの創造や課題解決をしていくことで、共に成長していくことを目指しています。
コーポレートメッセージ『ともに、その先の答えを』の通り、お客様と一緒にゴールを検討し、その答えに向かって共に進みたいと考えています」(金子広報・IR室長)
地域と会社との関わりからスポンサーへ
NSSOLは、スポーツへの支援を積極的に行っている。現在は鹿島アントラーズ(サッカー)や釜石シーウェイブス(ラグビー)など4競技、7チームを支援している。
チームを支えるにあたり、どのような想いを持っているのか。金子広報・IR室長はこう説明する。
「スポンサーというのは広告宣伝を目的とするものもありますが、弊社は地域や事業、そして社員との関わりが深いところでしっかり応援していけるようにサポートしたいと考えています」
そのルーツは、新日本製鐵株式会社時代(19年に日本製鉄に商号変更)にさかのぼる。
新日本製鐵時代、社会人野球の新日鉄君津(現:日本製鉄かずさマジック)やラグビーの新日鉄釜石(現:釜石シーウェイブス)のように、製鉄所地区の運動部だったチームが、会社の再編などでチームの運営形態も変わり、地域のクラブチームへと活動が変化した。
会社もその流れに合わせて、スポンサーシップという形で資金面での援助を行うことでサポートを継続。NSSOLも2010年代からスポーツ支援を開始し、現在に至っている。
地域との関わりを重んじる姿勢がよく表れている大きな例が鹿島アントラーズである。前身は住友金属のサッカー部であったアントラーズへは、12年の新日鐵と住友金属の経営統合がきっかけで支援を行うことになった。
「我々も鹿島地区で仕事をする中で、現地の方々に『NSSOLも、同じグループ企業の仲間なんだ』ということを認知していただけたらと思い、支援を始めました。現在は、主にアントラーズを通じた鹿島地区への地域支援を目的に参加をしています」
日本製鉄は1968年に鹿島製鉄所を開設してから50年以上に渡り、鹿島地区で事業を行っている。その縁から、2020年にアントラーズの運営母体が変わってもスポンサーを継続しており、その点にも地域との関りを重んじるDNAが感じられる。
グループ初 障がい者スポーツのスポンサーに
2020年より、NSSOLは身体障がい者野球チーム「千葉ドリームスター」へスポンサーとして参画することになった。障がい者スポーツへの支援を行うのは初めての施策である。
この支援は、現在チームに所属している川西努選手が社員としても活躍している縁から生まれたものであった。
NSSOLは、障がい者雇用に力を入れている。近年、IT産業の成長に伴い会社の事業も拡大してきた。これに比例して従業員数も増えてきたことから、障がい者採用にも一層力を入れている状況にある。
今年6月1日時点でおよそ50人の障がいを有する方が在籍し、今後も新たな取り組みを通じて採用を拡大していきたいと考えている。岡林部長はこのように語った。
「今テレワークがかなり拡大してきているので、障がい者雇用があまり進んでいない地域の方にも活躍頂ける可能性が広がっており、
例えばテレワークを活用した雇用を拡大していくことで、地域の活性化につなげられるのではないかと思っています。当社の事業に貢献する機会を通じて働く喜びを感じて頂ける方を増やしていきたいです」
採用を拡大するにおいて、「個々人の才能を活かせる環境をIT等の活用によって如何に整備できるか」を大切にしている。それは障がいの有無問わず共通したマインドで、「業務を拡大すること」「才能を活かせる新たな雇用環境を構築する」この両面で取組んでいる。
「障がいの内容や程度は人それぞれに差がある中で、『どうしたらこの人の才能を活かせられるか』ということを考えています。きっちり正確な作業を得意とされる方には名刺や社員証作成・書類電子化などのオフィス支援業務を、
ITスキルに強みを持つ方には、社内の定型業務を自動化して業務効率化を促進する役割を担っていただくなど、アサインする業務の工夫を行っています」
右上肢機能障害という右腕に障がいを持つ川西選手も、コミュニケーション力を活かし、所属する人事企画部にて、障がい者の方が活躍できる新たなフィールドを模索すべく全国を飛び回っている。
「川西さんから障がい者野球のチームで活動している話を伺いました。そこで障がい者野球というスポーツを知るとともに、前向きに活動している川西さんの姿勢に共感しました。障がい者雇用にも力を入れ、『社員をしっかり応援していきたい』というのが根底にあることから、スポンサーとして支援することを決めました」(金子広報・IR室長)
今シーズンより新たにユニホームの上下やヘルメットにロゴを掲出。今後は体験会といったイベントも開催することでチームとも交流を深めていきたいと考えている。
今後はITを活用した関係性を
現在、7チームのスポンサーに参加している。今後、どのようにしてスポーツ界と関わっていきたいか。金子広報・IR室長が想いを語った。
「会社としてはスポンサーだけではなく、弊社でJリーグさまに導入している『日程くん』のように、さらにITを活用して関わっていくことがあってもいいと考えています。
心身の健康のためにスポーツというのは大事ですので、その面白さを体験できるとともに今後も地域に根ざして活動支援していきたいです」
NSSOLは、今後もスポーツ界において「ともに、その先の答え」を探し、ゴールに向けて共に歩んでいく。
(取材 / 文:白石怜平)