社会人野球、新風を吹きこむ若手選手に注目②

今年も社会人野球のシーズンが始まりました。全国各地で次々と行われている大会はどれも魅力的ではありますが、同時期に開催されているものも多いため、なかなか全てに足を運ぶことができないのが残念です。

今回は、3月に行われた「東京スポニチ大会」とつい先日行われた「日立市長杯選抜大会」に出場していたチームの中から、今後が楽しみな若手選手を中心にお話を聞いてきました。7月には社会人野球の頂点を決める「都市対抗野球大会」も控えていますので、今のうちに期待の選手を要チェックです!
 

4月13日から行われた日立市長杯には16チームが参加しました。4チームごと4つのブロックに分かれリーグ戦を行い、それぞれのブロックで1位となった4チームが準決勝に進み、勝った2チームで決勝を戦います。

優勝したのは、4番に元・中日で4年目の中田亮二内野手が座り、多彩な変化球を操る左腕、若林篤志投手(関東学院大・3年目)などを擁するJR東海でした。この大会は東京スポニチ大会同様、秋の全国大会「社会人野球日本選手権」の出場を賭けた大会でもあるため、優勝したJR東海は出場権を獲得しました。

 

打席でのルーティーンの意味

「社会人野球、新風を吹き込む若手選手に注目①」(https://www.spportunity.com/column/82/column_detail/)でご紹介した東芝の岡部祐太選手(國學院大・2年目)が、この大会でも活躍していました。筆者の今年イチオシ選手のひとりでもあるため、再度お話を聞かせていただきました。
 

――3月のスポニチ大会で今後の目標としてアベレージを上げたいと言っていましたが、順調にヒットを重ねているように思います。調子はどうですか。

そうですね。良いと思います。

――打席に入ってからのルーティーンで一度しゃがみますよね? あれはいつからやっているのですか。

スポニチ大会のときもやっていたかな。あれ、やっていなかったかな? うーん、やっていたと思います。
 

――どんな意味があるんですか。

球が来たときに体が突っ込まないようにしたかったのと、球の見極めができないといけないので目線がぶれないようにしたかったんです。一度しゃがむことで基本の低い形ができて突っ込まなくなったし、見極めがしやすくなって四球が増え、変化にも対応しやすくなりました。

――この大会は茨城県でやっていますが、全国各地に遠征で訪れますよね。やはりその土地のものを意識して食べたりするのですか。

食べますよ! 今回はスプーンですくう納豆を食べました。初めての土地に行くときは、実家にもその土地のものを送ったりします。

――わー優しい! 岡部選手はご兄弟いますか。(今までの対応、優しい話し方、絶対お姉ちゃんがいる!)

姉いますよ。

――やっぱり! 絶対お姉さんいると思っていたんですよね!

そうですか(笑)。

――今季から平馬監督が指揮を執っていますが、何か変わったことはありますか。

選手の自主性に任されるようになりました。盗塁などですね。

途中、野球に関係ない話をしてしまい無理やり戻しましたが、たくさんの素晴らしい記者、野球ライターの方々が各選手の野球に関する大切なことや深い話は伝えてくださっているので、こちらでは選手の人となりなども伝えられたらと思っています(笑)。岡部選手、スポニチ大会のときには子供のファンにも丁寧に対応していて、試合で活躍するだけではなく人としても素晴らしいと感じました。
 

今回の日立市長杯では必ずお話を聞きたいと思っていた選手がいました。昨秋の明治神宮大会で37年ぶりの日本一に輝いた日本体育大学で主将だった濱村和人捕手と、2番セカンドで優勝に貢献した坂本耕哉内野手です。

大学野球で日本最強となった彼らは、新しいステージでどんな日々を送っているのでしょうか。

 

キャッチャー出身の監督の下で

 

まずは、新日鐵住金鹿島へと進んだ濱村和人捕手です。

――新しい環境になってどうですか。

先輩にも良くしてもらっていてとてもいい環境です。オフには結婚している先輩が家に呼んでくれたり、8月まで車に乗れないので指導係の先輩が乗せてくれたりします。試合の映像をDVDに焼いたり、オフでもやることは多いんですけどね。

――指導係はどなたなんですか。

片葺(翔太捕手/八戸大・10年目)さんです。キャンプも同じ部屋でした。ピッチャーとの駆け引きなどを教えてもらったりと勉強になります。中島監督もキャッチャー出身なんですよ。キャッチャー出身の監督は初めてで、いろいろ指導してもらえるので本当にいい環境です。

――大学に比べて社会人野球はどうですか。

甘い球は一球で仕留められますね。最初は抑えられても、どこかで修正してきますし。

――ベテランの片葺選手もいますし、出場機会はまだあまりないのでしょうか。

そんなことはないですよ。試合に出ながら、いろいろと学んでいます。

――DVDを焼いたりとやることがいっぱいあると言っていましたが、日体大では上級生が雑用をやるという環境で今また雑用をやらなければならなくて大変、ということはないですか。

全然大変じゃないですよ。先輩方も、そこまでやらなくていいよと言ってくれたりしますし。

――会社ではどんな仕事をやっているんですか。

まだ研修中なんです。研修が終わらないと、どこに配属されるかもわかりません。
 

――昨秋の首都リーグでは8連勝で優勝を決めた日体大ですが、やはりレベルの高い首都リーグで連覇というのは大変なことで、後輩たちは今季厳しい戦いをしていますね。どんな言葉をかけたいですか。

そうですね。船山(貴大内野手/日体大4年・副主将)と昨日電話でも話して言ったんですけど、「今焦って何か変えようと思ってもできることは限られているので、今までやってきたことを信じて、みんなを信じて」ということですね。

 

大学時代から要点を上手にまとめてハキハキと話してくれる、主将らしい主将だった濱村選手。周囲の人の話では、新人という立場になってもチーム内では積極的に発言したり学ぶ姿勢を見せたりと、存在感を示しているようです。今後マスクを被る機会もさらに増えて、チームの中心選手となっていくのが楽しみです。

 

強さや速さを身につけたい

次は永和商事ウイングへと進んだ、坂本耕哉内野手です。

坂本選手と言えば、以前こんなコラムも書きましたが(https://www.spportunity.com/column/61/column_detail/)船山選手と鉄壁の二遊間を組み、日体大を勝利へと導いた名手です。取材をしたこの日も、相変わらず華麗な守備を見せていました。やはり大学時代全国で一、二を争う守備力があったのですから、社会人野球でもすぐに対応できているのだと思いましたが、現実は違ったようです。
 

――永和商事ウイングに進んだことで、地元の三重県に帰ったんですよね。寮生活なんですか? 同じ三重でも実家とは違う地域なんですね。

実家とは離れていますね。寮生活です。

――永和商事はパチンコ・パチスロホールを運営する会社ですが、どんな仕事をしているんですか。

週1、2回ホールに出ています。

――今までそのような接客のアルバイトをしたことはありますか。

ないです…。だから大変です(笑)。

――社会人野球のレベルはどうですか。

レベルは高いですね。打球の強さ、スピード感が違います。

――でも、今日の試合を見ていて相変わらず守備が上手だなと感じましたが。

いえ、オープン戦ではエラーをしていました。社会人選手の打球についていけなくて。監督が二塁手だったので、1個1個基本から教えていただきました。打席に立っていても球の速さは感じますね。

――そんな苦労をしていたとは意外でした。普段練習は何時から何時までやっているんですか。

8~9時から15~16時くらいまでで、それから自主練という感じです。

――今後の目標を教えてください。

社会人のレベルまでまだきていないので、いろいろなことを覚えてまずはそのレベルに達することが目標です。一年目から結果を出したいので、強さや速さを身につけたいです。
 

坂本選手ほどの選手でも守備で壁にぶつかることがあるのですね。打撃も苦労を重ねながらもヒットは打っているとのことなので、一年目から結果を出すところをぜひ見せて欲しいです。つい先日まで最上級生だったとは思えないくらい、フレッシュな雰囲気の坂本選手でした。

 

今回はお話を聞けませんでしたが、他にも注目の選手はたくさんいます。

新日鐵住金鹿島の中島監督に注目の新人を伺ったら、地元の茨城県出身の飯田晴海投手を挙げました。常総学院高校時代は夏の甲子園で活躍し、東洋大学でも主将でエースだった飯田投手、昨年は東都リーグで春秋連覇し最高殊勲選手にも選ばれました。故障でここまで登板の機会がありませんでしたが、いよいよ復帰したとのことで今後の活躍に注目です。

また、4番DHで出場しているパナソニックの片山勢三内野手(九州共立大・1年目)は100キロを超える巨体でホームランを量産します。大学時代、4番らしくホームランだけを狙えと監督から言われ、ホームランを打つための体を作ってきた片山選手ですが、体重を増やしても動けないと困るのでそれに見合った筋肉をつけたりとバランスをとってきたそうです。
 

(写真は2017年神宮大会)

社会人野球デビューとなったスポニチ大会で2打席連続ホームランを打つなど、すでに活躍を見せている片山選手、その豪快なスイングに注目です。

他にもルーキーの注目選手を並べていこうと思ったのですが、あの選手もこの選手もと書いていたらキリがなくなってしまったのでやめました(笑)。そんな書ききれないほどの注目選手を、ぜひ球場で直接確認してください!

夏の熱き全国大会、都市対抗野球大会の予選も各地で始まっています。試合開始予定時間より早く試合を始めることが多々ありますので(社会人野球ファンの中では“JABAタイム”と呼ばれています)、時間に余裕を持って球場に行き社会人野球を楽しみましょう。

社会人野球JABAのHP
http://www.jaba.or.jp/index.html

山本祐香
好きな時に好きなだけ神宮球場で野球観戦ができる環境に身を置きたいとふと思い、OLを辞め北海道から上京。「三度の飯より野球が大好き」というキャッチフレーズと共にタレント活動をしながら、プロ野球・アマチュア野球を年間200試合以上観戦。気になるリーグや選手を取材し独自の視点で伝えるライターとしても活動している。記者が少なく情報が届かない大会などに自ら赴き、情報を必要とする人に発信する役割も担う。趣味は大学野球、社会人野球で逸材を見つける“仮想スカウティング”、面白いのに日の当たりづらいリーグや選手を太陽の下に引っ張り出すことを目標とする。

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