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「遊ぶ」?「学ぶ」?子どもの個性が伸びる子育ての一歩目とは――親子の生きる力を学ぶ「気づき」――

「子どもの個性や、潜在能力に気づき、伸ばしていくにはどうしたらいいか」 多くの親が直面する悩みかもしれない。この悩みに向き合う団体がある。一般社団法人ナチュラルボディバランス協会(以下なちゅぼ)だ。

なちゅぼの代表は、ショートトラックスピードスケート日本代表としてオリンピックに3度の出場経験がある勅使川原(てしがわら)郁恵さん。自身の経験を元にして組み立てた、「運動」「食」「アカデミー(芸術、教育論)」「自然遊び」をキーワードとするプログラム、「なちゅぼ式プログラム」を展開している。

今回、9月12日に木場公園で開催された「親子の生きる力を育むプログラム~自然体験あそび~」にお伺いし、内容や参加している親子の様子や変化などを取材した。

代表勅使川原さん(真ん中)と講師長谷川幸子さん(右)を囲んで

親が子育てをすることに答えはないが子どもの潜在力に驚こう

内閣府の「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、小学校高学年のスマートフォン所有率について令和元年で34.6%となっている。3人に1人が持つ時代。室内でオンラインゲームに興じる子どもたちの姿を見かける機会も本当に多くなっている。

利便性と引き換えにオンライン上の世界に没頭する子どもたちが多い中、自分の子どもをどう育てるか――親が直面する悩みだ。周囲に流されずに個性を伸ばしてあげるべきか。でも、そもそも、うちの子どもはなにが得意なんだろうか。そう考えているのではないか。

なちゅぼに参加する保護者も、そんな試行錯誤を繰り返す人が多い。

「習い事は、子どもの自発的な“やりたい”ではじめるようにしているんです」

現在、3つの習い事に通わせる母親は語った。

「子どもの感性を大事にしたいんです。子どもが『変なの』といったら、『どうして変だと思ったの?』と意識的に聞くようにしたり・・・」と

親たちは手探りで子どもの個性を探している。

さらには、「親の期待としては、第一は、本人の幸せです。自分の判断力を持ったうえ行動し、他人に迷惑をかけないよう生きてほしい。判断力を持つためには、親が邪魔をしないで本人の個性を伸ばしてあげたい。そして本人がやりたいことは否定しないことで、本人に自信を持たせるようにしている。」

と前述の保護者は語る。

コレクションボックスについて説明する長谷川講師と真剣に聞く子どもたち

子どもたちの個性を見つけるきっかけとして9月12日に「自然遊び」が開催された。講師は長谷川幸子氏。

内容は公園の中で好きなものを集めて、「自分だけのコレクションボックス(宝箱)を作ること」だった。

子どもが独自のテーマを考えて、コレクションボックスに好きなものを入れていく。

集め終わった後の並ぶコレクションボックス。目の前に置かれるボックスたち。

同じボックスはない。

蟻だけ探す「ありんこ」ボックス

石を集める「ストーン」ボックス

お花を集めた「虹色」ボックス・・・・

コレクションボックスに入っているものが子どもたちにとってはたちまち「宝物」に変わる。

一見、大人からにはどこにでもある公園の広場。にもかかわらず、様々なテーマのボックスが、あっというまに生まれていく。子どもたちの創造性が発揮された瞬間だ。

なちゅぼで自然遊びを担当する長谷川講師は、都会の中で自然を感じることが大切、と語る。

「都会にも(実は)自然は沢山あります。特別な何か、ではなくコンビニのようなもの。身近な自然でも、季節の移ろいを教えてくれます。それを感じることで、子どもたちの創造性が高まります。私たちがしているのは、そのお手伝いです」

日々、自然が与えてくれる恵みへの恩返しを考えている、という長谷川講師。彼女が進めていくプログラムで、子どもたちが自然を感じて個々の「遊び」が展開されていった。

なちゅぼだから気づける子どもの潜在能力の開花

なちゅぼ式プログラムを体験した男性の保護者は、「なちゅぼのような、自然の中で子どもが能動的に体を動かす習い事は少ないですね」と語る。

子ども主体で進むプログラム。自分の子どもに対する新しい気づきもあった。

「子どもの気づかなかった一面として、なんでも怖がらずにいろいろなものを触って、楽しそうに公園のテーマにあった素材を探していた」

普段と違う子どもの表情や行動の変化に驚いていた。なちゅぼの効果が表れている。

なちゅぼで得た新しい子育てのヒントに、心なしか親御さんの表情が晴れ晴れとしているように見えた。

子どもと一緒に公園にあるテーマにあう「宝物」を探す親子

子育てに悩む親に教えたい、なちゅぼ式プログラム「星のあそびば」

なちゅぼでは、なちゅぼ式プログラムを提供する場を「星のあそびば」と名付けている。星という言葉に込められた想い。それは夜空に沢山輝く星たちの、多様な光り方なのかもしれない。公園、という身近で、ともすればどこも同じようなものが並ぶ環境。そんな場所でも、子どもが複数いれば、同じものを見ても発見するものが違い、感じ方が違う。そのいずれも素晴らしい――今回のイベントは、それを強く感じる場だった。  

テーマを決めたコレクションボックスを見せる子ども

遊ぶことと学ぶことは別々なことではない

広辞苑によると

「遊ぶ」は日常的な生活から心身を解放し、別天地に身をゆだねる意に加え、子どもや魚鳥などが無心に動き回るとある。また、

「学ぶ」は経験を通して身に着ける。わかるの意で、無心に動き回り、経験を通し、「遊び→学び」につながることが、本イベントを通じ展開された。まさに身近な公園で子どもたちが無心に公園に落ちているものを想像力豊かに探し、あそびの本質を教えてくれるものとなった。

遊ぶことと学ぶことは別のことではなく、つながっていることを教えてくれるプログラムだった。

今後、なちゅぼは、「星のあそびば」を定期的に体験できる場「星のがっこう」を作ることを目指していく。

「こころとからだ・舌で、本物体験を」をコンセプトに専門講師やオリンピアンから運動・食・アカデミー・自然について学ぶことができ、夢と創造ある子どもの自律を促す場所。そして、子育てをする親の語り場となる空間施設。

星のがっこうによって、個性を伸ばした子どもたちが沢山生まれていったとき、どんな社会に変わっているのか。将来の日本が楽しみだ。

(文/鈴木大介)

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