「WEリーグオリジナル11」ノジマステラ神奈川相模原を支えるスタッフに迫る

9月12日、日本初の女子プロサッカーリーグ、WEリーグが開幕した。WEリーグ元年は11クラブが参加。オリジナル11と呼ばれる。

プロ化によりクラブの運営にも大きな変化が生じている。そのような中、現場のスタッフはどんな想いでどのように運営しているのだろうか。今回はノジマステラ神奈川相模原のスタッフである東城 凜(とうじょう りん)さんに協力いただいた。

スポーツに関わりたい、その想いでノジマステラのスタッフに

―早速ですがいつからノジマステラのスタッフとして働いているのでしょうか?

今年の6月から働いています。アメリカの大学を卒業した後、インターンを経て1年間ほどスポーツとは関わりがない仕事をしていましたが、ずっとスポーツに関わる仕事がしたいと思っていました。Jリーグのゲームを観戦したことでその想いが強くなり、ノジマステラで働くことにしました。

―いつからスポーツに関わる仕事がしたいと思っていたのでしょうか?

中学1年生の時からです。スポーツクラブの運営という仕事があることを知り、興味を持ちました。大学でスポーツマネジメントを学びたいと思い、それならアメリカの大学に行きたいと考えました。アメリカの大学で学ぶなら高校からアメリカへ行った方がよいと考え、高校から留学しました。大学ではスポーツマネジメントと経済学を学びました。

―高校からアメリカ留学、すごい行動力ですね。ノジマステラで働くことになったきっかけは何でしょうか?

代表の深井(正吉)との出会いです。ノジマステラには私から連絡しましたが、深井と話した時、私の欠点ではなく良いところを引き出すような質問をしてくれました。「この人と仕事をできたらきっと楽しいだろう」と思い、ノジマステラで働くことを決めました。

―クラブの運営と言っても様々な仕事がありますが、東城さんはどんなお仕事を担当されていますか?

観戦チケットの企画・販売、スポンサー営業や、行政との連携を担当しています。

今年プロ化したばかりですので、やりたくてもやれていないことがたくさんあります。自分から提案できることがたくさんあり、新しいことに挑戦できることが最大のやりがいです。

また留学経験を活かして外国人選手、ケーニヒ・シンディとサンディ・ロペスのサポートも担当しています。サッカーだけでなく、生活面のサポートもしますし、時には話し相手にもなります。最近は日本人選手と仲良くなったことを楽しそうに話してくれるので、聞いていて嬉しくなります。

イベントでのインタビュー風景。左から根本望央選手、サンディ・ロペス選手、東城氏、ケーニヒ・シンディ選手(ノジマステラ提供)

行政・クラブ一体になった取り組みで小中学生を無料招待

―この4カ月の中で挑戦した新しい取り組みを教えてください。

地域の小中学生を対象にした告知活動と年間パスの発給等について、1年間ホームゲームへの無料招待を他のスタッフとともに提案、実現しました。多数の小中学生がホームゲームを観戦してくれたことも嬉しかったのですが、さらに保護者も一緒に観戦してくださってホームゲームが盛り上がりました。

この取り組みは行政の協力も得て実現した取り組みです。相模原市や座間市に協力いただき市内の小中学校でビラを配っていただきました。またコロナ禍で様々な制約がある中で愛川町にも協力していただきました。

この年間パスは「ドリームパス」と名付けたのですが、印刷から裁断、配布まで全てクラブでやりました。スタッフと協力しながら夜遅くまで作業したのですが、これも貴重な経験でした。

自作したドリームパスのデザイン(一部抜粋・ノジマステラ提供)

クラウドファンディングに挑戦、支援者からのメッセージに感謝

-クラウドファンディングを実施中ですが、どのような想いで始めたのでしょうか?

きっかけは選手応援の横断幕、応援旗の作成費用をクラブが窓口になって募ることになったことですが、支援者へのリターンを通じてファン・サポーターの皆様ともっと関係を深めたいと考えて実施しました。イベント開催が難しくなっている中で、ネットを使った新しい取り組みに挑戦したいという想いもありました。

クラウドファンディングの紹介文の作成は大変でした。クラブの想いをわかりやすく伝えることの難しさを感じましたし、「支援していただく」ことに対する責任を強く感じました。

-どのような準備を進めてきたのでしょうか?

支援者へのリターンはクラブ公式グッズ担当者に相談しながら公式グッズを用意しましたが、さらに地域の名産品も用意しました。クラブのスポンサーからも商品を提供いただいたことで関係が強くなったと感じました。これからも何か一緒にできたらと思っています。

私自身もこれまで知らなかった地域の名産品を知ることができました。

またクラウドファンディングを知ってもらう必要があるので、広報担当スタッフが中心となってSNSで情報発信をしてきました。

-クラウドファンディングを実施してどんな反応、効果がありましたか?

支援してくださった皆様の応援メッセージの内容が濃くて驚きました。長文で応援メッセージやご意見を書いてくださった方が多く、読んでいて嬉しくなりました。距離を近く感じてくれているのかと思います。改めてサポーターや地域の皆様との一体感を大事にしたいと思いました。

休日は散歩でリフレッシュ

―忙しい毎日を送られていますが、休日はどのようにリフレッシュされていますか?

サッカーが好きでサッカーのことばかり考えていて、趣味と言えるほどのものはないですが...最近はコロナの影響もあって自宅がある鎌倉を散歩しています。お寺を回ったりしているのですが、自然が多くてリフレッシュできます。歩きながら良いアイデアが浮かぶこともあります。

鎌倉市内を散歩中に撮影した写真(東城氏提供)

これからの取り組み、つながりを広げたい

―やりたいことはたくさんあると思いますが、特にやりたいことは何ですか?

まず障がい者の方ををホームゲームに招待したいです。いろいろな人にサッカー観戦を楽しんで欲しいのですが、幸い相模原ギオンスタジアムには芝の席があります。芝の席をうまく使って実現したいと思っています。

もう一つは大学との連携です。相模原市周辺は大学が多いので、インターンやボランティアで学生に実際にクラブ運営に参加してもらう、スポーツビジネスを学ぶ学生と一緒にイベントを企画する、といったことを考えています。

―大学でスポーツマネジメントを学んだ東城さんらしい発想ですね。

私は大学卒業後、AC長野パルセイロさんで4カ月間、インターン生として働いていました。勉強になったし、楽しかったので、今の学生にもそういった経験をして欲しいと思っています。AC長野パルセイロさんとは今もつながりがあるので、先日のホームでのAC長野パルセイロ戦では、長野の野菜を売る物産展を一緒に企画しました。残念ながらコロナウイルス感染症の影響で実現しませんでしたが、これからもつながりを広げながら新しいことをやっていきたいです。

―東城さんは人とのつながりを大切にされていますね。

私は「サッカーは共通言語」だと思っています。アメリカではサッカーを通じていろいろな人と仲良くなれました。サッカーをきっかけに人種や言葉、年齢や性別を超えて仲良くなれる、そう思っています。クラブの運営でもサッカーを通じて「人と人のつながり」を生む取り組みをしていきたいです。

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