Jクラブ職員に「Jクラブで働く裏事情」を聞いてみた
「サッカークラブで仕事がしたい」と夢見る高校生や大学生の方は少なくないと思います。(もちろん社会人でもそうした夢をお持ちの方はいらっしゃるかと思います)
一方で、普通の企業への就職と比べると、サッカークラブに就職するための情報は少なく、「どうすればサッカークラブに就職できるのかよく分からない!」という方も多いかと思います。
そこで、今回は実際にJクラブや海外サッカークラブでお仕事をされた経験のある方に、「Jクラブで働く裏事情」を聞いてみました!
トレーナーや指導者などの「現場側」で働きたい人も、営業やマーケティングといった「ビジネス側」で働きたい人にも、とても参考になるアドバイスをたくさん頂きました。
ぜひ、「サッカークラブで働きたい!」という夢を持つ方の参考にして頂ければと思います!
(以下は「Jクラブ職員」の方に書いて頂いた内容をそのまま記載しています)
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もくじ
1 はじめに ~「現場」と「フロント」~
2 採用担当者が見ているポイントは?
3 「コネが必要」というのは本当か?
4 Jクラブスタッフになるのはどれくらい難しいのか?
5 さいごに ~Jリーグの求人は今後も増える~
6 ゼロスポ管理人からひとこと
はじめに ~「現場」と「フロント」~
今回は、「Jクラブで働く裏事情」というテーマでお話させて頂きます。Jクラブで働くといっても、最近のJクラブは働き方が沢山あります。
分かりやすいところでいうと、「現場」で働く人達です。サッカークラブの「現場」とは選手、監督、コーチ、トレーナー、マネージャーなどでしょうか。
一方で、「現場以外」で働く人達も沢山います。
一般的にサッカー業界では現場以外での仕事に従事している方々を「フロント」という言葉で呼ぶことが多いです。
ホームタウン活動、スポンサー営業、イベント企画、広報、スタジアムオペレーションなどの仕事をしている人たちを「フロント」と呼びます
今回は、その「現場」サイド、「フロント」サイドからの2つの視点で「裏事情」を解説していきたいと思います。
採用担当者が見ているポイントは?
Jクラブで働く裏事情、採用担当者が見ているポイントについて解説していきたいと思います。
早速ですが、「現場サイド」ではやはり経験値やキャリアがモノをいうでしょう。
現役時代の選手としての経験、例えば現役時代はプロ選手としてJリーグでプレーしていたか、また日本代表としての代表歴はあるか、などでしょう。
他にはコーチとしての経験値や、どこのクラブのどの年代で指導のキャリアを積んできたかも採用されるにあたってのポイントとなります。
さらには、コーチであればJFA公認のコーチングライセンス、トレーナーであれば理学療法士や鍼灸などの専門的な資格も重要視されます。
サッカー選手になれなければ、現場で働けないのか、というとそうでもありません。
私はプロ選手としてのキャリアはゼロのまま、現在Jリーグチームのユースアカデミーの現場統括をやっております。
現場サイドにおいても様々な力が求められ、その力を認められれば、元プロや元日本代表キャリアのあるコーチ陣とも対等に肩を並べ合えます。
例えば試合の分析などはその一つです。
自チームの試合の映像を観て分析して、映像を編集して監督・コーチ・選手を納得させるプレゼンをする。こんな能力があれば戦力の一人として認めてもらえるでしょう。
一方で、「フロントサイド」ではその採用ポイントはやや異なってきます。
もちろんサッカー業界での実務経験があるのは採用する上では魅力の一つですが、むしろサッカー業界以外での経験値を高く評価して採用されるケースも近年では増えています。
例えばスポンサーセールスの営業担当の仕事であれば、企業への営業力が問われます。法人取引の経験がある人材には有利な職種だと思います。
またホームタウン活動を担当したり企画・運営を担当する方においては、地域と連携してクラブの認知向上に努める比重が強いため、その土地に詳しく人脈やネットワークに長けている人にとっては有利な職種でもあります。
それぞれの歩んできた人生から得意なこと、強みを活かしてJクラブと地域の結びつきをより強くし、なおかつクラブ基盤を大きくすることに貢献してくれる人材かどうかを採用担当者は見ていると思います。
「コネが必要」というのは本当か?
「スポーツ業界への就職はコネが必要」というのはよく言われる話ですが、「コネ」が必要だというのは半分本当で半分は嘘だと思います。
「半分本当」だというのは、やはり人脈で採用している事実はあるからです。
特に「現場サイド」については人脈のあるところに頼らざるを得ないところはあります。
その一つの理由として、「指導方法に正解が無い」からだと思います。
正解がないからこそ、様々な現場での指導方法の価値基準に合う・合わないというものが生まれてきます。
もう一つの理由として、現場スタッフの契約は基本的にはプロ契約となっているため、いわゆる「結果」が求められてくることにも原因があるかと思います。
先ほど書いた、「現場での指導方法に合う合わない」ということや、「結果次第でクビ」になってしまうという状況だからこそ、監督・コーチの心理としては相手のことがちゃんと分かってる人と一緒に仕事がしたいものです。
ですので、「現役時代に一緒にプレーしたことがある」、「指導者ライセンスの同期」、「信頼している人からの紹介」などの「コネ」と呼ばれる現象が起きるのです。
「コネが必要」だということについて「半分は嘘」だということについて。
フロントサイドでの仕事については近年では「求人サイト」や「転職エージェント」の案件にも出てきています。
主にスポンサーセールスの営業職や広報、経理、企画・運営などの担当職です。
この辺りの仕事はコネというよりも、むしろ「サッカー業界以外でどのような経験をしてきたのか」ということが求められていると感じています。
もちろん、サッカー業界での実務経験があるのは魅力ではありますが、それよりもサッカー業界には今までなかった知見や経験を活かしてサッカー業界を盛り上げてくれる人材を各Jリーグクラブは求めている時代になっていると感じます。
そういった意味においては、コネよりも今までのキャリアがモノを言うので、コネが無い人でもJリーグクラブで採用される確率は低くはないと思います。
Jリーグクラブの話ではないのですが、イングランド・プレミアリーグやドイツ・ブンデスリーガなどの世界的に有名なサッカークラブで働く日本人職員が実際に存在しています。
その方達は、「コネ」ではなく、全く違う業界からキャリア転職してきた方です。
そのようなチャンスはコネが無くてもサッカークラブで働くことが出来るという証明になっていると思います。
「現場サイド」での仕事も、近年ではサッカーコーチ・監督の「エージェント」も増えてきています。
事実、私もまったく知らないエージェントからのクラブオファーがありました。
そこが「半分は嘘」だと述べる理由です。
ただし、そうなるためにはしっかりとしたキャリアを築いて、この人なら任せても大丈夫だと思われる必要があります。
Jクラブスタッフになるのはどれくらい難しいのか?
現在のサッカー業界において、Jリーグクラブのスタッフになるということ自体は、一般企業へ就職するハードルと比べても大差は無いとは思います。
Jリーグは1993年5月15日に開幕して、2020年で27年が経ちました。
開幕当時は、日本国内に僅か10クラブのみしかありませんでしたので、当然といえば当然ですが、Jクラブへの入社の門は狭きところではあったと思います。
しかし、近年はJ1からJ3まで、合わせて56クラブのJリーグクラブが全国各地に存在しています。
クラブの数が増えたということはそれに比例して選手・監督・コーチ・内勤業務などの雇用も増えたということです。
56クラブという数は単純に日本の都道府県よりも多い数になります。
「難しさ」という視点で述べるとすると、「地域を選べない」難しさはあるかもしれません。
どういうことかというと、自分の希望している地域でのJクラブスタッフに必ずしもなれるわけではないということです。
東京・千葉・埼玉・神奈川・大阪・名古屋など、大都市圏でのJリーグクラブでの仕事はもちろん人気がありますし、人気があるということはそれだけ「Jクラブスタッフの椅子」を狙っているライバルも多くなります。
一方で、秋田・山形・盛岡・八戸・富山・鳥取などの地方は、そもそも「働き手が足りない」などの事情もあります。(サッカーに限らず、様々な仕事において)
いま挙げたような地域でも、「働きたい!」という強い意欲を持った人材であれば、良いのですが、そうした人はあまり多くなく、マッチングしない難しさもあるのは事実です。
もし、現役の学生さんで「サッカー業界で働きたい。日本全国どこでも働きます!」というたくましさがある方は、ぜひとも地方のサッカークラブでの就職をお勧めします!!
さいごに ~Jリーグの求人は今後も増える~
この記事を最後まで読んでくれているということは、きっと「サッカーを仕事にしたい!」という思いをお持ちだからだと思います。
Jリーグ開幕当時のサッカー業界はクラブ数も少なく、サッカー関係者だけのやり方で進んできた歴史がありました。
しかし、近年は「楽天」「ジャパネット」「メルカリ」など、誰もが知る大手企業がJリーグクラブの経営権を獲得するなど、大きな資本(お金)がサッカー業界に流れてきています。
ゆるやかなお金の流れが年を積み重ねるごとに徐々に大きな川の流れに変わりつつある日本のJリーグ業界です。
今後、ますますJリーグ業界からの求人は増えると思います。
この記事を読んで、サッカー業界に興味を持ってくれて、そしてサッカーの現場でいつか出会える。
そんな出会いを期待しておりますので、ぜひともサッカー業界で働くことにチャレンジしてみてください!
ゼロスポ管理人からひとこと
最後までお読みいただきありがとうございます! 今回は、\Jクラブ職員に「Jクラブで働く裏事情」を聞いてみた/ というテーマで、Jクラブの採用事情や求める人材などについて、リアルな内容をお届けしました。
「サッカークラブで働きたい!」と一言でいっても、クラブには多くの役割の仕事があります。
「現場」と「フロント」で求める人材は全く違いますし、採用されるためのアプローチも全く違ってきます。
特に学生さんは、「働きたいけど、働くイメージが湧かない」といったことがあるかと思いますので、企業には「どんな役割の仕事があるのか?」とか、「自分に向いてそうな役割はどんな役割か?」といったことをよく調べたり、実際に周りにいる大人の人たちに聞いてみたりすると良いと思います!スポーツ関連の仕事探しに使える求人サイトまとめ
特に「フロント」側でクラブに関わりたい人は、「ビジネス経験」ということが大きなポイントになってきます。
まずは、違う業界で実務経験を積んでビジネスパーソンとしての実力を磨くことも1つの選択かもしれませんね。
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記事提供
ゼロからのスポーツビジネス入門 須賀 優樹
「世界で一番優しくスポーツビジネスを学べる場をつくる!」を目標に、スポーツ業界に入りたい人、活躍したい人をこれまで多数支援。学生時代の専門は「スポーツマーケティング」。現在は大手企業のデジタルマーケティングやビッグデータ分析のコンサルティング、スポーツ団体の新規事業支援などをやっています。