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仙台六大学野球春季リーグ戦は第2節までに全大学が登場 各大学の春のスタートを振り返る

 4月8日に開幕した仙台六大学野球春季リーグ戦。15、16日に行われた第2節までに、全6大学が登場した。開幕から間もないが、各大学のここまでの戦いぶりを振り返る。

仙台大、東北福祉大は今春も強い

 「2強」の強さは今春も健在。昨秋優勝の仙台大は開幕から4連勝、同準優勝の東北福祉大は第2節は試合がなく第1節で連勝スタートを切った。

 仙台大はここまでの4試合で先発登板した南勝樹投手(3年=白鷗大足利)、佐藤幻瑛投手(1年=柏木農)、相原雄太投手(3年=伊奈学園総合)がいずれもリーグ戦初先発のマウンドで好投。佐藤は1年生ながらすでに2試合で先発を任され、140キロ台中盤~後半の直球を武器に試合をつくっている。また相原は宮城教育大1回戦で5回1安打無失点と快投し、公式戦での最速となる150キロを計測した。

 打線は1、2番が絶好調。昨秋から1番を打つ川島優外野手(4年=山村学園)は4試合で打率.667(9打数6安打)、出塁率.824(18打席14出塁1犠打)、11盗塁と驚異的な数字を残しており、開幕前に話していた「出塁率を上げることを意識して、『塁に出れば二塁打同然』というかたちにして打線を勢いづけたい」との言葉を体現している。今春から2番に座る小田倉啓介内野手(3年=霞ヶ浦)も川島と強力クリーンアップのつなぎ役を担いつつ、打率.545(11打数5安打)、1本塁打と打撃好調だ。森本吉謙監督も第2節終了後、「小田倉の2番が機能しているのは確か」と評価していた。

開幕2戦目で先発し力投する佐藤

 下位打線を打つ伊藤颯内野手(3年=鶴岡東)、菅原礼央内野手(4年=旭川大高)も4割を超える打率を維持しており、打線に抜け目がない。一方、宮城教育大2回戦では途中出場の選手の凡退が目立つなど、昨秋と比べるとスタメン争いが活発化していない印象もある。次戦以降はよりレベルの高い相手と当たるだけに、ニューヒーローの出現にも期待したい。

 東北福祉大は初戦こそ打線の爆発力に物足りなさを感じたものの、2戦目はリーグ新記録となる34得点を奪う猛攻を見せた。この試合では、レギュラーの座をつかんではいない佐藤琉河捕手(3年=東北)と安齋駿斗内野手(3年=健大高崎)が本塁打をマーク。次戦以降に向け、バットでアピールした。特に安齋は開幕前最後のオープン戦でも本塁打を放つなど好調で、今後クリーンアップを担う可能性もある。山路哲生監督は「レギュラーは固まっていないので、みんなにチャンスがある」と話しており、現に開幕2戦目では5~8番の打順、メンバーを初戦と入れ替えた。熾烈なレギュラー争いは続く。

宮城教育大2回戦で本塁打を放ち生還する安齋

 投手陣は今春も盤石で、特に4年生は佐々木繕貴投手(4年=古川学園)、浅野駿吾投手(4年=遠軽)、北畑玲央投手(4年=佐久長聖)、小原拓也投手(4年=倉敷商)と早くも4投手が登板済み。この後も最上級生が引っ張っていくこととなりそうだ。後藤凌寿投手(4年=四日市商)、堀越啓太投手(2年=花咲徳栄)をはじめ好投手がまだまだ控えているだけに、山路監督の投手起用にも注目したい。

熱戦演じた東北学院大、東北大

 星孝典新監督を迎えた東北学院大は第2節から登場し、苦しみながらも連勝スタートを切った。初戦は3年次までリーグ戦出場経験のなかった山中海渡外野手(4年=東北学院榴ヶ岡)を「3番・指名打者」で起用。その山中は先制打を含む5打数4安打4打点と大当たりで、新体制初勝利に大きく貢献した。2戦目は8回までリードを許す展開の中、9回に4番・坂本章畝内野手(3年=一関学院)の起死回生の一発が飛び出し追いつくと、最後は猪俣俊介外野手(4年=健大高崎)がサヨナラ打を放ち接戦を制した。

東北大1回戦で4安打4打点と打ちまくった山中

 初戦は投手陣が計12与四死球と荒れ、2戦目は打線が3度の満塁の好機を逸するなどつながりを欠いた。仙台大、東北福祉大との対戦を見据える上では、課題は山積みだ。それでも、星監督が開幕前に「ここでつまずくとズルズルと負けが込んでしまう」と警戒していた東北大から勝ち点を奪ったのは事実。星イズムを浸透させ、ここから白星を積み重ねたい。

 東北大は東北学院大に連敗を喫したものの、不安視されていた投手陣が奮闘した。開幕投手を任された道下大洋投手(3年=仙台二)は6点を失う苦しいマウンドながら、7回、149球を投げ切るエースらしい投球を披露。2戦目ではオープン戦からアピールしていた野瀬陸真投手(3年=春日部)が6回3失点と粘投し、2番手の阿部哲也投手(3年=国立)も9回に同点本塁打を浴びるまでは東北学院大打線を封じ込んだ。投手の枚数が少ない中、各投手が経験を積みながら成長を続ける。

先発の役割を果たした野瀬

 打線は初戦で小林厳捕手(4年=江戸川学園取手)、2戦目で中丸宏平外野手(4年=佼成学園)が本塁打を放っており、ほかにも一発で試合を動かすことのできる打者が複数いる。つなぎの打撃も強化すれば、さらに得点力は増すはずだ。また一塁、二塁、遊撃は固定されておらず、初戦と2戦目でメンバーを入れ替えた。初戦では「6番・一塁」の鈴木駿宙捕手(4年=不動岡)が得点につながる二塁打、2戦目では「8番・遊撃」の原口和弥内野手(3年=浦和)がチーム唯一の複数安打をマークするなど各選手が持ち味を発揮しており、内野陣のレギュラー争いも注視したい。

東北工業大、宮城教育大は大敗を糧にできるか

 東北工業大は第2節は試合がなく、開幕節で連敗スタート。仙台大相手に2試合連続で二桁失点を喫した。ただ初戦は5回を終えた時点で1-0とリードする展開に持ち込んでおり、最下位に沈んだ昨秋からの進化は感じさせている。

 初戦に先発した左のエース・後藤佑輔投手(3年=仙台育英)は140キロ前後の直球と昨秋より割合の増した変化球で仙台大打線を翻弄し、5回まで3安打無失点に抑えた。6回に4点を失い逆転されたものの、今春の大飛躍を予感させる投球だった。この2試合は登板したのべ8投手がいずれも失点。後藤を中心に投手陣の立て直しを図る。

笑顔でベンチへ向かう後藤

 野手陣では、1年次から4番に座る佐久間永翔内野手(2年=白石工)が初戦から本塁打を放った。また佐久間の後を打つ難波龍世内野手(3年=仙台育英)は2戦目で3打数3安打1打点と躍動。上位打線が機能し始めれば、相手投手は0に抑えるのが簡単ではなくなるだろう。

 宮城教育大は開幕から4連敗で、開幕2戦目では0-34で敗れる屈辱を味わった。野手登録の選手も登板せざるをえない状況で、投手陣の層の薄さが浮き彫りとなっている。そんな中、第1、2節ともに初戦の先発マウンドに上がった篠村大翔投手(2年=仙台一)が大健闘。第1節の東北福祉大戦では7回3分の1、146球、第2節の仙台大戦では6回、117球を投げ切った。

1年生ながら先発含め2試合に登板している遠藤

 また早くも出場機会を得ている1年生も多く、遠藤直投手(1年=仙台南)は仙台大2回戦でリーグ戦初先発を経験。この試合では「8番・右翼」でスタメン出場した金颯太外野手(1年=盛岡三)がリーグ戦初安打初打点を記録したほか、千葉柊弥内野手(1年=仙台三)も途中出場で四球を選ぶなど、ルーキーの働きぶりが際立った。全員野球でまずは最初の1勝をつかみにいく。

(取材・文・写真 川浪康太郎)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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