龍谷大学男子ラクロス部―組織力を高め、次の世代の主役たちの活躍を―

大学で盛んなスポーツの一つが、ラクロスである。選手たちはクロスと呼ばれるステッキを使って、直径6㎝の硬いボールを奪い合ってゴールを決める。特に男子のラクロスはヘルメットや心臓を守るクッションを身に着ける、立派なコンタクトスポーツである。

そんなラクロスを愛する学生が集まる関西の大学の一つが、龍谷大学男子ラクロス部である。

今回は、龍谷大学男子ラクロス部のキャプテン・塩塚元介さん(4年・滋賀県立八幡高)と、マネージャーの船谷真愛さん(4年・兵庫県立伊川谷北高)の2人に話を聞いた。

激しくぶつかりながら素早く動くラクロスのプレーヤー

ラクロスでつながる仲間が30人以上

龍谷大学男子ラクロス部の学年別の人数構成を伺えますか。

塩塚元介さん(以下、敬称略)「4回生にプレーヤーが7人とマネジャーが4人、3回生はプレーヤーが3人、2回生がプレーヤーが7人とマネージャーが2人、1回生にはプレーヤーが7人とマネージャーが2人います。全体でプレーヤーが25人とマネージャーが8人で合計33人います。」

船谷真愛さん(以下、敬称略)「8人のマネージャーのうち、4回生と2回生に一人ずつトレーナーがいます。」

大学の部活としては大所帯のように思いますが。

塩塚「大学のラクロス部としては小規模な方になります。強い大学のラクロス部だったら50人くらい部員がいることが多いですし、部員が120人ぐらいという大所帯のラクロス部もあります。

 ラクロスは1チーム10人でプレーするスポーツです。また、4月に入部した1回生がプレーできるようになるには12月くらいまでかかるので、今年いっぱい私たちは約20人のプレイヤーで戦っていることになります。そのためリーグ戦で試合が続いたときなどにチームの中で2~3人がケガをすると、チーム全体に影響が出てしまうんです。」

部員の皆さんの、練習のある日の1日のスケジュールは、どのような感じでしょうか。

塩塚「9時から15時くらいまでが授業時間です。16時半から練習があるのですが、私のように練習場のある瀬田キャンパスまで移動する必要がある人もいます。そして20時くらいまで全体練習をした後に、個人練習を21時くらいまでして、その後帰宅することになります。」

船谷「私たちマネージャーも、15時くらいまでが授業時間です。そしてプレーヤーが練習を始める30分前に練習場に行って、道具などを準備します。練習中には私たちが選手のプレーの様子を撮影し、その動画を練習後にSNSにアップして、21時くらいに帰宅します。」

 大学からラクロスを始めたキャプテンの塩塚元介さん(写真右端)も、高校時代までは野球少年

全くの初心者から関西でトップレベルの選手になった先輩も

塩塚さんと船谷さんも、大学に入ってからラクロスに出会われたと伺いました。お2人が考えるラクロスの魅力とは、どのようなものでしょうか。

塩塚「私は小学校から高校まで、野球をしていました。野球は守備の時間と攻撃の時間がはっきり分かれていますし、監督やコーチからサインが出るのは選手のプレーが止まっているときだけなんです。

 でも、ラクロスはその時のゲームの流れで、攻守は瞬時に変わりますし、走りながらプレーヤー同士が作戦の伝達をします。そうした試合やプレーのスピードがラクロスの魅力だと思います。」

船谷「私は高校時代はバレーボールをしていたのですが、バレーボールはコートの中に6人のプレーヤーがいて、選手交代も1セット中最大6回までとルールで決まっています。そのため、実際にプレーできる選手の数は、どうしても限られてしまいます。

 でも、ラクロスはゲーム中ならいつでもプレーヤーが交代できるし、何度でも交代することができます。だから、ほとんどのプレーヤーがグラウンドに立つチャンスがあるんです。プレーヤーみんなが活躍できるチャンスがある、ということがラクロスの魅力ですね。」

毎年4月には新歓行事もあり、きっと多くの新入生にお会いになるかと思います。その時、お2人はどのようなことを伝えていますか。

船谷「私はラクロスがプレーヤーはもちろん、マネージャーも心から楽しむことができるスポーツだ、ということを伝えています。そして、もしも龍谷大学で自分を成長させたいと考えているなら、ラクロス部も選択肢の1つだよ、とも話します。」

塩塚「ラクロスは本当の初心者から始めても、大学時代に花を咲かせることができるスポーツなんだ、ということを伝えたいです。

 毎年、新歓期間に話をする新入生の95%はラクロスというスポーツを知りません。また、今ラクロスをしている部員たちは、高校時代まで野球やサッカー、ハンドボール、バトミントンそしてバレーボールなどのスポーツをしていた人がほとんどです。でも、高校時代までは帰宅部で、大学に入ってからラクロスを始めて最後には関西でもトップレベルの選手になった先輩もいます。

 ラクロスに出会うのはみんな大学入学後なので、スタート地点はみんな一緒です。そこから1人ひとりの努力で上手にプレーできるようになることを、毎年新入生に伝えています。」

 ラクロス部を支えるマネージャーの船谷真愛さん

後輩たちの躍進を期待

現在、9月末(取材時)ということで、ラクロスのシーズンも後半戦に入っているかと思います。今年の後半戦の目標を聞かせてください。

塩塚「今年1年を通しての目標が、現在の3部リーグから2部リーグへの昇格なので、その目標のために後半戦も戦うことになります。 

 でも、実はもう1つ目標があって、今の2回生や3回生が活躍する形で、2部リーグへ昇格したいんです。

 4回生の自分がこのようなことをいうのもちょっと恥ずかしいのですが、ラクロス部の2回生や3回生は、本当に私たち4回生の選手やマネージャーのことが大好きなんです。だから、今年の目標である2部昇格に関しても、4回生に良い思い出を残してほしいという気持ちで、2回生や3回生は毎日努力してくれているんです。

 そのことには、本当に心から感謝しています。もちろん嬉しいですし、誇りに思っているのも事実です。

 でも、私たち4回生がラクロスをプレーできるのは、あと半年ほどしかありません。そのあとは、2回生や3回生が主役になります。2部に昇格した後私たち4回生が抜けてから、龍谷大学男子ラクロス部が弱くなって、また3部に降格するという未来は絶対に避けたい。そのためには、ただ勝って昇格するだけではなく、勝ち方も大事になってきます。2回生や3回生が力をつけて、2部のライバルチームとも互角に勝負できるチームになることが、もう一つの後半戦の目標です。

 そのため私はキャプテンとして、2回生や3回生に、向上心を持ち続けて現状に満足しないで欲しいと、日々話しています。2部昇格そしてその後の1部昇格の主役は後輩たちなんだ、ということをもっと伝えていきたいと思っています。」

塩塚さん、船谷さんは、4回生を脅かすくらいの実力を持つ2回生や3回生がこの後半戦で現れてほしいと考えているのでしょうか。

塩塚「はい。もちろん私たち4回生も最後のシーズンなので、グラウンドでプレーできない時間があれば、プレーヤーとして悲しい気持ちになるとは思います。でも、龍谷大学男子ラクロス部の将来を考えると、もしこの後半戦で2回生や3回生が私たち以上に活躍できたなら、これ以上心強い事はありません。」

最後の質問になります。5年後あるいは10年後の龍谷大学男子ラクロス部は、どのようになっていて欲しいですか。

船谷「チームのモットーが『愛され勝ち続け、自分のことを本気で好きになる集団』というものなんです。このモットーが受け継がれて、たくさんの後輩たちが大学4年間を思い切りラクロスに打ち込める部になっていてほしいです。」

塩塚「組織力の強いチームになってほしいです。組織力というのは、一つの事柄に対して、チームの全員が同じ集中力や熱意を持って向かい合う事だと私は思っています。その姿勢はラクロスの試合だけでなく、部の運営においても必要なものです。その組織力で大学の内外から一目置かれる存在になってくれたら、嬉しいですね。」

2部昇格が今年の龍谷大学男子ラクロス部の目標

今回インタビューした塩塚さんと船谷さんは、かつて1部で戦っていた龍谷大学男子ラクロス部が、2部そして3部へと降格した時代も経験している世代である。

また、新型コロナウイルスの影響で、3回生になるまでグラウンドで現在のような練習をすることができなかった、と2人は話す。

そうした苦しい時代を経験しているからこそ後輩たちが活躍し、強いラクロス部であり続けることを誰よりも願っているのだろう。

未来を見据えた龍谷大学男子ラクロス部の勝負は、ここから始まる。

(インタビュー・文 對馬由佳理) (写真提供 龍谷大学男子ラクロス部)

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