アーバンスポーツ同士が初のタッグ!Baseball5と3×3バスケットボールチームが一つになり、地域創生と共生社会を促進する新たな一歩に
                10月、東京都内でジャンク5(Baseball5)とADDELM ELEMENTS.EXE(3×3 バスケットボール)の提携会見が行われた。
アーバンスポーツのチーム同士が初めて手を組み、スポーツ界に新たな風を吹き込もうとしている。
(写真 / 文:白石怜平)
それぞれのアーバンスポーツを盛り上げている両チーム
今回手を組むことになった両チーム。ジャンク5は、現在世界80カ国以上で普及が進んでいる野球型アーバンスポーツ「Baseball5」のトップランナーとして2020年に発足。
以前から力を入れて取り組んできた野球との両立を深め、現在まで強豪チームとしての地位を築いてきた。
24年に初めて開催された同競技の公式大会「侍ジャパンチャレンジカップ Baseball5日本選手権」の初代優勝を果たし、22年そして24年に開催された国際大会では多数の侍ジャパンBaseball5のメンバーを輩出してきた。

強いだけではなくさまざま使命感を持ち、広く活動しているのがジャンク5の魅力。18年に軟式野球チームとして初の一般社団法人化をしており、チームの母体である「ジャンク野球団」が発足した。
野球やソフトボール、そしてBaseball5の競技特性と連動させて強化×普及×教育という3軸における活性化を行ってきた。
特別支援学校を交えたBaseball5の体験会や、全国各地の特別支援学校に通う生徒たちが硬式野球に取り組む活動「甲子園夢プロジェクト」と連携した交流会を行うなど、世界でも類を見ない取り組みを数々実現させた。
このような活動を通じてジャンク5が新たに掲げたミッションが「ベースボール型スポーツで『共生社会』を実現する」。今も共生社会の実現に向け、Baseball5の進化と発展の道を切り拓いている。

そして、一緒にタッグを組むのがADDELM ELEMENTS.EXE。
アスリートのベストパフォーマンス発揮を目的としたアクティブテクノロジー開発や原料供給をはじめ、競技ウェア「AddElm(アドエルム)」ブランドを展開する「AddElm TECHNOLOGY株式会社」がオーナーとして運営している。
“スポーツテックで世界一を目指す日本発のスポーツテックカンパニー”として、日本から世界一へ可能性を拡げる『ELEMENTS』を作るという想いを込め、昨年チームを設立した。
AddElm TECHNOLOGY社にもスポーツが好きな社員が多く在籍している。
スノーボーダーやダンサー、サーファーといったストリートスポーツやアクションスポーツをしているメンバーも多く、エンタメ性を持ちファンとの距離が近い観点から3×3に注目した。
周囲にバスケ関係者がいない中から信頼関係を築き、ゼロからのチーム運営を地道に行いながら2シーズンを戦い抜いた。
本社のある渋谷区を中心に活動を行っており、10人の選手が切磋琢磨しながら来年5月の開幕に向けて早くも動き出している。

両者を繋いだ“革新性”と“ワクワク感”
両チームが最初に出会ったのは6月、東京ビッグサイトで行われた展示会がきっかけだった。
ここではADDELM ELEMENTS.EXEが出展をしており、AddElm TECHNOLOGY社のテクノロジーを体感できるコーナーや、その技術を活かした選手着用のオリジナルユニフォーム・ウェアなどの案内を行っていた。
そこに来場していたジャンク5の若松健太代表(侍ジャパンBaseball5代表監督)と東翔紀選手が視察し、共にアーバンスポーツであることからすぐに意気投合ができた。
アーバンスポーツとして共に未来を創りたいという想いがその場で芽生えていき、後日「新しいことを一緒にやっていきましょう」と若松代表から提案、7月には提携に向けて合意となった。
互いの競技の特徴でもあるスピーディーな決定を後押ししたのは「革新性」と「ワクワク感」だった。

“まだ見たことのない”世界観を数々形にしてきたジャンク5。
参加した特別支援学校生やその保護者、さらには若松代表を始めとしたメンバーが揃って開始前から語っていたのが「今日、ワクワクしながらこの日を迎えました」という言葉だった。
また、若松代表から提案を受けた同社並びにチームでPRを担当する武藤萌子さんも共感したことを明かしてくれた。
「弊社でも『ワクワクすることを通じて、私たちのテクノロジーを広めていくべきだよね』という話をしてます。
そんな中、ジャンク5さんとの出会いや若松さんと最初に話して、『えっ、そんなことできるんですか?すごくワクワクしますね!』となって瞬く間にここまで来ることができました」

すでに両者だから実現できることを検討しており、まずはジャンク5のユニフォームがAddElm TECHNOLOGY社製のものにリニューアル予定。選手のパフォーマンスを最大限に引き出し、世界一の前にまずは選手権での日本一を後押しする。
そして、特別支援学校生を対象にしたイベントも開催する。Baseball5と3×3という2つの競技を一度に体験する場を設け、子どもたちが“熱中”できる機会を創り出す。
両チームの選手が語るそれぞれの競技の印象は?
この日行われた会見はジャンク5から若松代表に加え、侍ジャパンBaseball5代表主将を務める島拓也選手と同じく侍ジャパンの三上駿選手。
ADDELM ELEMENTS.EXEからはAddElmTECHNOLOGY社の藤﨑大 代表取締役社長と、黒木瑛介選手・杉山碧選手の計3名が参加した。

島選手は互いに手を組む事になったことを受け、喜びのコメントを寄せた。
「アーバンスポーツの未来に向けて大きな一歩を踏み出したと実感できつつあります。お互いの競技をもっと盛り上げていきたいですし、私も2人のユニフォーム姿を見て3×3をすごくやってみたくなりました」
黒木選手は小学生時代に野球への挑戦も考えたことがあったそうで、当時を思い出しながら心境を述べた。
「私もBaseball5をやってみたいと思いました。アーバンスポーツという同じ領域にいますので、お互いに競技を知って高め合っていきたいです。
あとは国際大会でも成績を残されているので、僕らも刺激をもらって頑張らないといけないと気持ちが高ぶりました」


お互いの競技の印象について問うと、三上選手はBaseball5との共通点を交えながら語った。
「3人制(のバスケ)ということで、一人ひとりのプレーの素早さや動きがカギになってくる印象を持ちました。
コートの広さもよりコンパクトになって、少人数で行うからこその楽しみ方がある点でもBaseball5との共通点があると感じました」
そして杉山選手。事前に競技のことを聞いた時のことを踏まえながら感じたことを話した。
「最初聞いた時、ピッチャーとキャッチャーがいないということに驚きました。今公式球を持たせてもらっていますが、柔らかくてしかも手で打って捕ると聞いて、斬新と同時にその分難しそうで、プレーしているお2人のすごさを感じました」


そして4選手が両競技が組むことによる今後の展望を語った。
島選手・三上選手はジャンク5として様々な取り組みに参加している立場から、実践につながる具体的な構想を明かしてくれた。
「両競技ともに体育館でできる特徴を活かせるのではないかと思います。コートの半面ずつを活用して同時にできるので、双方を一度に体験する取り組みもできます。
今スポーツをやる環境が縮小されつつある中で、この2つの競技が、国民スポーツへと発展して、世代問わず親しめる世界を創っていきたいです」

黒木選手・杉山選手は3×3の舞台でファンの方たちの声援を背に受けながらプレーしている経験や地域に目を向け、抱いている構想を述べた。
「(黒木選手は)私は宮崎県出身なのですが、地方でも少子化が進んでいると感じています。なので、我々の競技の大きな長所でもある誰でもどこでもできる点を活用しながら日本中に広がる一歩にしていきたいです。
3×3の試合時にもBaseball5のチームを招待してエキシビジョンマッチを行うなど、ファンの皆さんにとって一度きたら2つの競技を肌で感じることができると思います。
そういった活動を通じてお互いの認知度が広がる可能性というのを今感じています」

会見後もチーム同士の熱い会話が続いたこの日。アーバンスポーツ界に新たな歴史が刻まれたと同時に、日本のスポーツ界の未来も創る一歩を共に踏み出した。
(おわり)
