100年をこえる歴史ある大会を守りたい!!〜その1・歴史とマネージャーの思い〜
2021年4月18日第90回早慶レガッタの開催が発表されました。一年の早慶戦の口火を切る早慶レガッタが2年ぶりに春の隅田川に帰って来ます。コロナ禍によって中止された去年の悲しみを乗り越え、ひとまわり力強くなった早慶ボート部。
今回は両校が取り組む新しい試みについて、
◆早稲田大学漕艇部マネージャー
・石井さん
・新田さん
◆慶應義塾大学端艇部マネージャー
・萩原さん
・宮本さん
の4名にお話を伺いました。
早慶ではスポーツそのものが文化。三大早慶戦の1つ”早慶レガッタ”とは?
三大早慶戦の一つである早慶レガッタ。1905年の隅田川開催から、毎年春に隅田川で行われている歴史のある大会です。ゴールの桜橋まで3750メートルのコースを舞台に9人が高速のレースを展開する「対校エイト」は迫力満点。そんな早慶レガッタについて語ってもらいました。
慶應・萩原さん:早慶レガッタは早慶戦の中でも、野球、ラグビーと並ぶ三大早慶戦と呼ばれていて昔から東京都の春のイベントとして注目されています。
早稲田・新田さん:途中で戦争や水質汚染、震災によって開催できなかったこともありましたが、早慶レガッタは隅田川にこだわって開催して来ました。運営や選手、OBだけでなく隅田川沿いの地元の人たちに支えられ、一緒に作り上げてきた大会です。
慶應・萩原さん:公共の河川で大規模に開催できるレースは早慶レガッタこそ。去年はコロナによって中止になってしまいましたが、それを乗り越えて開催する継承の歴史をぜひ見てください。
早稲田・新田さん:新型コロナウィルスの影響を受けて大変な世の中ですが、先輩たちから歴史を引き継ぎ隅田川にこだわって準備を進めています。
今こそチャレンジの時。苦しい時だからこそ新たな資金繰りを模索
ーーなぜクラウドファンディングをやろうと思ったのでしょうか。
早稲田・新田さん:例年の早慶レガッタは運営にあたり、主にOBからの協賛金、戸田や浅草周辺のお店や企業、OB関係の企業に支えられてきました。
しかしその中には観光業で成り立っているような人たちもいらっしゃいます。現在のコロナ禍による社会の状況を考えると例年通りの方法というのは難しい。そこで新しい収入の方法としてクラウドファンディングというのを考えました。
クラウドファンディングという開かれた方法を使うことによって、学生や地元、純粋な早慶ファンの人たち、これまでよりたくさんの人と大会を作れるのではないかと期待しています。
コロナを乗り越えて早慶レガッタへ。両校の現在の取り組み
ーー両校の現在の活動について教えてください。
早稲田・新田さん:早稲田大学は普段の生活に制限はあるものの、通常通り練習が出来ています。去年はギリギリまで開催できるということを信じて早慶戦の準備を進めていましたが、引退する先輩たちの姿を思うと、中止は寂しい結果だったと思います。
でもそんな中、インカレが大きな自信につながりました。制限の中でも対策を万全に行なった上で開催されたインカレを乗り切り、結果を残したことは大きな前進でした。
現在早慶戦では早稲田が3連覇中で女子が30連勝中です。31連覇に向けた女子の活躍にもぜひ注目してくださいね。
慶應・萩原さん:慶應義塾大学も外食をしないなどの制限はありますが、活動は認めてもらっています。
早慶レガッタは数ある早慶戦の中でも年度の一番最初に行われ、今年の早慶の一年を象徴する大会です。
去年、引退する先輩選手や先輩マネージャーが早慶レガッタに向けて前年からかなり準備をしていたので、中止が決まったときは先輩たちにかける言葉がありませんでした。
今のチーム全体には先輩たちの分まで自分たちが勝負するという取り組みが見えます。早慶レガッタから今年の早慶戦が始まるという気持ちでやっているのでそこへの意気込みに注目していただければと思います。
また今年の慶應には代表合宿に参加している女子もおり、今までと勢いが違います。それ以外の選手も今までとは違う雰囲気です。現在男子は3連敗、女子は30連敗してるんですけど 早慶レガッタの総合的な戦績としてはかなり拮抗しています。そんな早慶戦は珍しいんですよぜひ注目してください。
慶應・宮本さん:三大早慶戦の中で女子が唯一出ているのがボートなのですが、慶應女子部は大学生から初めた選手ばかりなんです。
本当は遊びに行きたいとかキラキラおしゃれしたいとかそういう女子の大学生生活のイメージがある中で、ボートに捧げている熱い女子の姿もぜひ見てください。
ーーありがとうございます。皆さんはマネージャーとしてどのように活動をされているのでしょうか。
早稲田・新田さん:普段朝早く起きたり、寒い中モーターを出したりしている中で、正直逃げたいと思ったこともあるんですが、どうすれば早慶レガッタが成功するのか、どうすればクラブがより良くなるのか、勝てるのかと自分たちで考えて動けることが面白い。周りのマネージャーと力を合わせて楽しみながら、ルーティンに囚われず、ルーティンを超えた所を目指して活動しています。
慶應・宮本さん:慶應は半分くらいが最初からマネージャー志望として入り、半分くらいが選手からマネージャーに転換します。最初からマネージャー志望で入部しても最初は選手と一緒に漕いだりトレーニングするのが特徴です。
その中で絆を深めていくので、慶應大学端艇部は選手とマネージャーの距離が近く、勝利に向けて一丸となって頑張っています。
慶應・萩原さん:マネージャーの日常的な業務には平坦なことが多いけど、その先にあるチームの勝利に自分たちも携っている実感があります。漕ぐ以外の形でも主体的にチームの勝利に貢献できているんです。
クラウドファンディングにおけるおすすめのリターンは?
ーークラウドファンディングのリターンはどういったものを検討されていますか?
慶應・萩原さん:現在慶應大学は早稲田大学と力を合わせて運営をしています。チームの勝負の面ではライバルとして意識していますが、運営においては一緒に成功に向けて努力をする仲間です。
早稲田・新田さん:検討中の段階なのですが、リターンの中でも早慶のコラボがあったら面白いと思って準備をしています。ぜひお楽しみに。
中止を乗り越えた早慶レガッタ。注目のポイントは
早稲田・石井さん:早慶レガッタは距離がかなり長いレースです。他のレースは2000mですが、早慶レガッタは3500m以上の長距離が見所。
私はまだ一年なのですが、去年中止されたため、今回が初めての早慶戦となります。現場としてまだ体験してないけど先輩たちが早慶戦に向けて一丸となっている姿を見ているので、チームの団結力が生み出すレースにぜひ注目していただきたいと思っています。
早稲田・新田さん:3750m長距離の中には急カーブや高い波、流れが早い箇所があったりという隅田川の特性が出て来ます。
選手がどう川を克服してどちらが先に桜橋にたどり着くのかが見所です。
先輩たちが築いて来た100年以上の早慶レガッタ。
今年は無観客で行われます。
今回はライブ配信で観戦できるので、それぞれの場所で応援してください。
慶應・宮本さん:早慶レガッタはいろいろな方面から人に支えてもらっている大会です。
去年コロナで中止となってしまい、そんな中、やっと開催できるということに感謝の気持ちがあります。
またボートのレースには複雑なルールがないので、小さい子でも楽しめる競技です。選手のみんなも感謝を持って活動しているので、ぜひその姿を見てください。
慶應・萩原さん:公共の河川で大規模に開催できるレースは早慶レガッタこそ。
去年はコロナによって中止になってしまいましたが、それを乗り越え、金額的にも時間的にもたくさんの人のご支援で開催できること、運営に関われることに感謝の気持ちがあります。
今回無観客で開催されますが、YouTubeライブでドローンを使ったレース風景を配信するので地元の人たちや学生、早慶ファンの人たちはもちろんたくさんの世間の皆さんにぜひ見てもらいたいと思っています。
クラウドファンディングが一つの手段として良い方向に向かうことを期待しています。
ありがとうございました。次回は選手のお気持ちについてレポートしていきます。お楽しみに!