今、首都大学野球リーグが面白い! 開幕8連勝で優勝、日体大の野球とは!?(前編)
スタンドから投げ込まれた紙テープが舞う中、マウンドに立つ松本航投手の元へ駆け寄る選手たち。
突き上げた腕。指の先には高い空。
俺たちがナンバーワン。
首都大学野球秋季リーグでは、日本体育大学が開幕から8連勝し、3季ぶり23回目の優勝を決めました。春は優勝争いに絡みながらも、最終的には4位だった日体大。東海大戦を残しながらすでに優勝を決めた今季の強さの秘密はどこにあるのか、筆者が見たこの秋の日体大を綴ります。
日体大の守り勝つ野球
夏、他大学や企業チームとのオープン戦で実戦を重ねた日体大。私も、秋季リーグ開幕直前の対日立製作所戦を観戦しました。春季リーグと夏季オープン戦で感じた日体大の強みと言えば、まず投手の層の厚さです。
リーグ戦2連戦の先発を担うことが多いのが、春に完封勝利をあげた東妻勇輔投手(3年・智辯和歌山)、侍JAPAN大学代表の松本航投手(3年・明石商)の両エース。どちらも完投能力の高い投手です。それに加えて西澤大投手(4年・春日部共栄)、石川勇二投手(4年・糸魚川)、森山大成投手(3年・桐生)、北山比呂投手(2年・横浜)、森博人投手(1年・豊川)など多くの精鋭が控えており、今や日体大は“投手王国”を築いているといっても過言ではありません。
東妻勇輔投手(3年・智辯和歌山)
松本航投手(3年・明石商)
そして、守備力の高さ。特に坂本耕哉選手(4年・松阪)と船山貴大選手(3年・日大三)の二遊間の美技は、一見の価値あり。全国的に見てもかなりレベルが高く、なかなか打球が抜けていきません。打たれてもうしろが何とかしてくれると思えば、投手も思い切って投げられることでしょう。
坂本耕哉二塁手(4年・松阪)
船山貴大遊撃手(3年・日大三)
投手力、守備力とディフェンス面では穴がない反面、課題は攻撃力だったのではないでしょうか。日体大の打撃を一言で表すとすれば“上品”。様々な大学野球リーグで試合を観てきて、バットを振り切る元気な野球が増えてきたと感じる中、日体大はおとなしい印象がありました。ジワジワと攻めていく怖さはあるけど、爆発的な勢いを感じる怖さはない。大量失点はしないけど、大量得点も少ない。そんなイメージです。
しかし、バッティングセンス抜群の上西嵐満選手(2年・宇部鴻城・投手だが外野手で出場)や鋭い打球を飛ばすエドポロ・ジョセフ選手(2年・日体大柏)はじめ、それぞれの課題に向き合い春よりさらに力をつけてきた選手が多く、この秋はつながれば怖い打線になることが予想されました。
上田嵐満選手(2年・宇部鴻城)
エドポロ・ジョセフ選手(2年・日体大柏)
秋季リーグ開幕
自慢のディフェンス、強化したオフェンス。万全の状態で迎えた筑波大との秋季リーグ開幕戦。先発を任されたのは東妻投手。初回からピンチを作るも野手の守備にも助けられ、持ち前の強気のピッチングで6回無失点と好投します。秋季リーグ開幕直前に侍JAPAN大学代表としてユニバーシアードに出場し守護神を務めた松本航投手は、7回からリリーフ登板し3回2失点。打撃は筑波大のエース大場遼太郎投手(4年・日大三)に対し、船山選手、エドポロ選手、谷津鷹明選手(4年・向上)の適時打などで4点を奪い、4-2で勝利しました。
正捕手の馬場龍星選手(2年・八戸学院光星)が試合途中にアクシデントで退いたときには一瞬嫌な空気が流れましたが、代わりにマスクを被った濱村和人選手(4年・長崎海星)が、そこにいるだけで安心するような主将らしい存在感をみせ、流れを引き戻しました。
開幕戦を白星で飾ると、そこからは接戦やタイブレークも制し安定した強さを見せます。明星大戦では、東妻投手が首都大学野球史上16人目となるノーヒットノーランを達成。試合を重ねるにつれ、たとえ劣勢のときでも負ける気がしない、そんな勢いを感じるようになっていました。
後編はこちらから:http://3.112.198.14/?p=449
日本体育大学野球部HP
首都大学野球連盟HP