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「サポーターにJ1復帰を届けるために」~野村直輝選手・弓場将輝選手~大分トリニータ選手インタビュー(パート2)

7月1日から開催されている大分トリニータのクラウドファンディング「All Blue Project」。

その裏で、後半戦に挑む大分トリニータの選手たちは、勝利を積み重ね、当初の目標である「J1復帰」を達成すべく戦っている。

今回は「勝つことは当たり前じゃない」と語る野村直輝選手と、アカデミー時代からトリニータでプレーしている弓場将輝選手に、後半戦への戦いとトリニータサポーターの声援に対する思いについて話を聞くことができた。

野村直輝選手「サポーターの応援があると、アドレナリンの出る量が変わる」

(ゲーム中の野村選手)

この2年ほどは、スタジアムに大分サポーターの声援がない日も多かったかと思います。野村選手にとっても、非常に違和感がある中でプレーされていたのではないでしょうか。

野村選手「サポーターの声援があるのとないのとでは、アドレナリンの出てくる量が違ってくるんですよね。

 僕が徳島ヴォルティスからトリニータに移籍し、サポーターの方がフルに声を出せる状態での応援を初めて聞いたのが、アウェーでおこなわれたセレッソ大阪との開幕戦だったんです。長居スタジアムは結構大きいので『トリニータサポーターとずいぶん距離があるな』と感じてしまいました。

だいぶチームのチャント(応援歌)は憶えてきているのですが、いまだに生できちんとサポーターのチャントを聞けていないので、そうした点ではかなり寂しさを感じていますね。」

野村選手は社会貢献活動も積極的にされています。一般社団法人F-connectで活動されていらっしゃいますが、試合や遠征で忙しい中、そうした社会貢献活動にも熱心でいらっしゃるモチベーションというのは、どのようなものなのでしょうか。

野村選手「F-connectの活動は、東京ヴェルディの小池純輝選手に誘われてスタートしました。小池選手に『児童養護施設に遊びに行かないか』と誘われたことがきっかけです。そして、実際に児童養護施設に行ってみたら、逆に私のほうが子どもたちからパワーをもらったんです。

 はじめのうちは、そうした施設の子どもたちって、寂しい子が多いのかなと思っていたんですが、全くそんなことはなくて、すごいエネルギーに溢れている子どもたちがたくさんいました。

 実は私の高校時代の友人の1人が、児童養護施設で育っているんです。でも当時はそうした施設がどのようなところかなんて、私は全く興味がありませんでした。でも、大人になってからそうした養護施設を訪ねるたびに、その友人のことを思い出し、『そうか、彼はこうしたところで育っていたのか』と感慨深い思いを持つこともあります。

 そして同時に『自分も何かしたい。何かできたらいいな。』とも思います。

 幸い今、私はサッカー選手で、子どもたちに夢や刺激を与えられる立場だと思います。だから、これからもこうした活動を続けていきたいですね。」

(トリニータの「10番」を背負う野村選手)

今年のトリニータ初勝利は第6戦目となりました。かなり苦しんだ印象ですが、その間もチームやスタジアムに来られていたサポーターの雰囲気というのは、どのようなものだったのでしょうか。

野村選手「昨年の天皇杯で準優勝しましたし、チームの選手もほぼ移籍せずトリニータに残ったので、『このチームならJ2でもやっていけるんじゃないか』という思いがあったのかもしれません。

 でも、実際にはシーズン前のキャンプも地震があってうまく調整できず、新型コロナウイルスの影響で公式戦がなかなか始まらない時期もありました。私自身も開幕戦の3日前に怪我をしましたし、いろいろなアクシデントが重なった前半戦だったと思います。

 そうした中でも、ピッチに立つ選手たちは『サポーターのために勝ちたい』という思いでゲームにのぞんでいましたが、なかなか結果が出せずに、チームとしてはいろいろな焦りもありました。

 でも、そんな中、ゲームに勝ってサポーターと一緒に喜ぶ瞬間は本当に特別なものです。それと同時に『勝つことは難しいな』ということ、『勝つことは当たり前のことじゃないんだな』ということを改めて感じます。

 とはいえ、『J1復帰』というチームとクラブの目標は全く変わっていません。チームの現状を踏まえた上で、これまでより早いペースで勝点を積み重ね、目標を達成することが今の課題ですね。」

では最後に野村選手から、今回のクラウドファンディングに参加しようか迷っている大分トリニータのサポーターやファンの方に、メッセージをいただけますか。

「私たち選手は今回もリターン品に熱量を注いでいますし、これからの試合に勝つことで、ご支援に応えたいと思います。

 また、今回のクラウドファンディングについて、ご意見やご質問のある方は、私のSNSアカウントまでDMを送っていただければ、クラブの広報に皆様のご意見を伝えることもお約束します。」

弓場将輝選手「『地元愛』の強いトリニータサポーター」

(大分トリニータのアカデミー出身の弓場選手)

弓場選手は地元トリニータのアカデミー出身と伺いました。そんな弓場選手から見て、トリニータサポーターはどのような存在でしょうか。

弓場選手「スタジアムに来ていただけるサポーターはもちろん、いろいろなところでお会いするファンの方もいらっしゃいますが、とにかく皆さんに笑顔を届けられるプレーをしたいと、いつも思っています。」

やはり大分の町を歩いているとファンの方から声をかけられることも多いですか。

弓場選手「最近髪型を変えたためか、今はそうでもないのです(笑)。でも髪型を変える前は、町を歩いているとサポーターやファンの方によく声をかけていただきました。

 私がアカデミーにいた頃、プロの選手を町中で見るとすごく嬉しかったので、大分トリニータの選手を見かけたときのサポーターの方の気持ちもよくわかります。ですので、もし、声をかけていただければとても嬉しいですし、一言おっしゃていただければ一緒に写真を取ることも可能です。気軽に声をかけていただきたいですね。」

(ゲーム中の弓場選手)

過去にトリニータが実施したクラウドファンディングでは、本当にたくさんの方の支援がありました。おそらく、弓場選手はその経緯をトリニータのアカデミーでご覧になっていたかと思います。そうした支援について、弓場選手はどのように感じておられますか。

弓場選手「地元大分のクラブを愛してくださっている方が本当に多いんだな、ありがたいな、と最初に思いました。もちろん、普段のゲームでスタジアムに来て応援していただいていることからも、『地元愛』が強いサポーターの方が本当にたくさんいるんだな、ということを感じます。」

では、10年後くらいに、トリニータは日本でどのようなチームとして認識されていて欲しいと、弓場選手は想像されますか。

弓場選手「10年後には日本の頂点に立つようなチームそしてクラブになっていて欲しいと思います。

 そして、もしできれば、その10年の間に僕自身が海外でのプレーなどを経験した上で、現役選手として最後にプレーするチームとして、トリニータに戻ってこられたら最高ですね。トリニータでプロ選手としてのキャリアをスタートできたので、選手としてのキャリアもトリニータで終わりたいと思っています。」

現在、トリニータは少し苦しみながらゲームを戦っているような印象があります。そうした中トリニータサポーターの前でプレーする時、弓場選手はどんな思いを持たれているのでしょうか。

弓場選手「前半戦はホームの試合で本当に勝てなかったですし、負けた試合もたくさんありましたので、プレーしていても、私自身めちゃくちゃ悔しい思いをしました。また、サポーターの皆さんが駆けつけてくださっても、その期待に応えられないこともあったので、後半戦は死に物狂いで戦って勝ち点3を獲りに行きます。また、サポーターの方に勝利の喜びを持ち帰っていただく機会を増やしたいです。」

今季の前半戦は、苦しい戦いが多かった大分トリニータ。

J1復帰という目標に向けた大分トリニータの後半戦の戦いは、今始まったばかりである。

J1復帰とその先にある未来のために、大分トリニータの奮闘は続いている。

(インタビュー・文 對馬由佳理)

(写真提供 大分トリニータ)

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