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上位指名候補も複数!プロ野球ドラフト会議で指名を待つ仙台六大学野球連盟の7選手

23日にプロ野球ドラフト会議が開催される。仙台六大学野球連盟からは7人がプロ志望届を提出。上位指名候補も複数人おり、ドラフトを沸かせることが期待される。本記事では、「運命の日」を待つ個性派揃いの7人を紹介する。

東北福祉大は4人がプロ志望届を提出

今春の全日本大学野球選手権(以下・大学選手権)で日本一に輝いた東北福祉大からは、4人がプロ志望届を提出した。

櫻井頼之介(さくらい・よりのすけ、4年=聖カタリナ学園)は総合力の高い先発完投型の右腕。身長175cm、体重68kgと小柄ながら、150キロ前後の直球と得意球であるカットボールなどの変化球を武器に打者を抑え込む。試合中は基本ポーカーフェイスだが、「ヨリのために」が今年のチームの合言葉になるほど仲間からの人望が厚い。

東北福祉大・櫻井頼之介

大学では2年秋から先発ローテーションに定着し、通算30試合に登板して17勝をマーク。4年春の仙台大戦で12球団のスカウトを前に9回4安打完封勝利を挙げたのを機に、注目度が急上昇した。

今春の大学選手権は全5試合中4試合に登板(うち3試合は先発)して優勝に貢献し、最優秀投手賞を獲得。その後、大学日本代表に選出され、日米大学野球選手権で自己最速153キロを計測するなど存在感を示した。即戦力投手としてマークする球団は少なくないはずだ。

堀越啓太(ほりこし・けいた、4年=花咲徳栄)は剛速球を武器に持つ右腕。大学1年時のオフに非公式ながら160キロ台を連発し注目を集めると、公式戦でも150キロ台中盤をコンスタントに計測した。

球速にフォーカスが当たりがちだが、本人は変化球や制球力も磨いて投球の「引き出し」を増やすことに注力してきた。今春の大学選手権では東日本国際大との2回戦に先発し、6回10奪三振無失点と好投。短いイニングを全力で抑えるだけでなく、先発で試合を作る能力も兼ね備えると知らしめた。

東北福祉大・堀越啓太

今秋はコンディション不良によりリーグ戦の登板がなかったものの、ポテンシャルの高さは証明済み。本人が「すべてが一気にハマる感覚をつかんだ」という3年秋のような投球を継続してできれば、プロの打者もそう簡単には弾き返せないはずだ。高校時代は指名漏れを経験しており、自身2度目のドラフトに臨む。

櫻井、堀越を「ライバルというより尊敬の対象」と表現する大森幹大(おおもり・みきと、4年=東海大相模)は、最速149キロの直球と大きく曲がるスライダーが光る右腕。高校3年春にセンバツで優勝した際はボールボーイを務めていたが、当時の門馬敬治監督に勧められて進学した東北福祉大で長所を伸ばした。

東北福祉大・大森幹大

大学入学当初はプロ野球を意識しておらず、3年春に登板機会を得たのを機にプロ志望が芽生えた。リーグ戦通算5試合の登板にとどまったものの、今春の大学選手権では西南学院大との準々決勝で先発に抜擢され、6回途中1安打無失点と快投。5回まで無安打投球を続ける抜群の内容で起用に応えた。

新保茉良(しんぽ・まお、4年=瀬戸内)は堅実な守備と勝負強い打撃が売りの遊撃手。3年時まではリーグ戦出場1試合ながら、弟の玖和(くお、仙台大2年=霞ヶ浦)の台頭を見て奮起した4年春にブレイクを果たした。今春の大学選手権でも西南学院大戦で本塁打、福井工業大との決勝で3安打を放つなど攻守にわたって活躍し、日本一に貢献した。

東北福祉大・新保茉良

プレーはもちろん、遊撃の守備位置や出塁した際の塁上で大きな声を出し、チームを鼓舞する姿も印象的で華がある内野手。すでに引退した利於(りお)を含めて3兄弟全員遊撃手で、「新保家第1号のプロ野球選手になる」と意気込んでいる。

仙台大の投打の逸材と東北工業大の右腕も指名待つ

仙台大は投打の注目株が吉報を待つ。

平川蓮(ひらかわ・れん、4年=札幌国際情報)は身長187cm、体重91kgの恵まれた体格と高い身体能力を誇るスイッチヒッター。仙台大には投手として入学し、入部から約3か月で野手に転向した。野手転向後は遊撃、一塁、外野などさまざまなポジションを守り、2年秋からは両打ちに挑戦。大学4年間で目まぐるしい成長を遂げた。

仙台大・平川蓮

3年春からレギュラーに定着すると、4年時には大学日本代表に選出された。日米大学野球選手権では全試合にスタメン出場し4番も務めるなど躍動。その名を全国区にした。

大学ラストシーズンの今秋は打率.378、4本塁打、22打点(連盟新記録)、13盗塁といずれもキャリアハイの成績を残し、最多本塁打賞、最多打点賞、最多盗塁賞、ベストナインの個人4冠を獲得。リーグ戦では初となる右打席での本塁打も飛び出し、最後まで持ち前の長打力と走力を発揮した。

渡邉一生(わたなべ・いっせい、4年=日本航空/BBCスカイホークス)は「150キロが出る変化球ピッチャー」をテーマに掲げる最速153キロ左腕。高校時代は強豪校から通信制の高校に転校し、クラブチームでプレーしていた。

仙台大では1年春から堀越とともに注目を集め、速球を連発。怪我を経て復帰した3年時からは自身が「お守り」と称するチェンジアップをはじめとする変化球も駆使するようになり、春は4勝、防御率0.27をマークして最優秀選手賞、最優秀投手賞、ベストナインに輝いた。

仙台大・渡邉一生

昨年11月に手術をして以降は調子が安定せず、4年時は苦戦を強いられた。今秋も東北福祉大戦で四死球がかさむなど、本領を発揮できなかった。それでも、ハマった時の手のつけようのなさやマウンドを支配する精神力、自己分析力は折り紙付き。本人が「その年の一番の当たり選手である『ドラフトキング』を目指す」と話すように、順位にこだわることなく指名を待つ。

ほかには東北工業大の伊藤理壱(いとう・りいち、4年=仙台城南)がプロ志望届を提出している。140キロ台後半の直球が武器で、1年春からリーグ戦の登板機会をつかんだ。デビュー当初は制球が定まらないマウンドも散見されたが、2年春の新人戦で仙台大相手に9回10奪三振無失点と好投して以降は安定感が増した。

東北工業大・伊藤理壱

4年春は投手主将を務め、今秋の最終節では自己最速149キロを計測するなどコンスタントに速球を投じ進化を証明。新たに習得したシンカーも織り交ぜ、投球の幅の広さも見せつけた。元巨人投手の荻原満コーチも成長を認める右腕が初めてのドラフトを迎える。

(取材・文・写真 川浪康太郎)

読売新聞記者を経て2022年春からフリーに転身。東北のアマチュア野球を中心に取材している。福岡出身仙台在住。

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